五輪注目のスプリンターが出場資格取り消し 米国のシャカリ・リチャードソンが薬物違反

[ 2021年7月3日 09:18 ]

マリフアナによる薬物違反が判明した米国のリチャードソン(AP)
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 東京五輪の陸上女子100メートルで優勝候補の1人に挙がっていた米国のシャカリ・リチャードソン(21=ルイジアナ州立大、正確な発音はシャキャーリ)が、出場資格を取り消されることになった。

 同選手は155センチと小柄なサイズながら、6月19日に行われた全米選手権の100メートルで10秒86をマークして優勝。今季は世界ランク2位の10秒72の自己ベストをマークし、オレンジ色の長髪をたなびかせるアスリートとして人気があった。しかし薬物検査の結果、世界反ドーピング機関(WADA)が禁止薬物に指定しているマリフアナに陽性反応を示し、7月27日までの1カ月間の出場停止処分を受け入れたことをリチャードソン本人がテレビ番組へのリモート出演で明らかにした。

 マリフアナには運動能力と機能向上の効能はなく、ニューヨークなど米国の15州で合法化されているが、WADAでは「健康へのリスクがある」「スポーツ精神に反する」という理由で依然として禁止薬物に指定されたまま。2012年のロンドン五輪以降、“非競技期間”に限って違反となる基準値の数値が緩和されていたが、競技直前は対象外となっていた。他の薬物と比較すると処分は軽いが、それでも本来ならば3カ月間の出場停止。しかし同選手は全米選手権の1週間前に実母が他界したためにカウンセリングを受けており、その事情を考慮されて1カ月になったと見られている。

 東京五輪の陸上女子100メートルは7月30日に予選が始まるために27日で処分期間が終了するリチャードソンの出場は可能だが、今回の違反によって全米選手権の記録が抹消するために「1位」ではなくなることから個人種目での出場は不可能。ただし400メートル・リレーのメンバーとして参加する可能性は残されている。

 東京五輪の女子100メートルでは2008年北京、12年ロンドン両五輪で金メダルを獲得しているジャマイカのシェリーアン・フレイザープライス(34)が今季世界最高の10秒63をマーク。リチャードソンは短距離界の“女王”の有力なライバルとして注目されていたが、これで100メートルでの出場はなくなった。

 米国陸上界では男子100メートルで世界歴代6位の9秒76をマークし、2019年の世界選手権(ドーハ)を制したクリスチャン・コールマン(25)も検査の不正回避という理由で2年間の出場停止。東京五輪の100メートルでは男女のトップ・アスリートを欠いての参加となる。

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2021年7月3日のニュース