女子バレー・中田監督、涙の五輪代表12人発表「簡単に選ぶことはできなかった」愛弟子・長岡は落選

[ 2021年7月1日 05:30 ]

東京五輪に出場するバレーボール女子日本代表12人を発表した中田監督(C)JVA
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 日本バレーボール協会は30日、東京五輪に出場する女子日本代表メンバー12人を発表した。メダル獲得を目指す中田久美監督(55)は、大ケガから復帰し、直前のイタリア遠征にも同行させた16年リオ五輪代表の長岡望悠(29=久光)のメンバー入りを断念。攻撃はエースの黒後愛(23=東レ)を筆頭に、古賀紗理那(25=NEC)、石川真佑(21=東レ)ら初の五輪出場となる若手の奮起に期待した。

 一人一人の名前を読み上げる中田監督の目には光るものが浮かんだ。中田体制がスタートした17年から約5年間の代表候補選手は計50人。「簡単に選ぶことはできなかった。この50名に対する敬意と感謝の気持ちを込め、12人を選んだ」と言葉を詰まらせながら打ち明けた。

 12人の中に、久光製薬のコーチ、監督時代から指導する点取り屋の長岡を残すことはできなかった。長岡は17年3月、18年12月の2度の左膝前十字じん帯断裂の大ケガから昨年、2年ぶりに代表復帰。中田監督からの「平然と乗り越えろ」という言葉を胸に、懸命にリハビリに励み、今年5月の中国戦ではチーム2位の10得点をマークし、回復ぶりをアピール。しかし、5月下旬からイタリアで行われたネーションズリーグ(NL)では1試合も出場することなく帰国。左の強打は日本の貴重な武器だったが、指揮官は「コンディションが上がらなかった」と苦渋の決断を迫られた。長岡に対しては「感謝の気持ちを伝えた」という。

 サイドからの攻撃は黒後、古賀、男子の石川祐希の妹・真佑ら若手が中心となる。中でも長岡と同じオポジット(セッター対角)に入る黒後には「スイッチが入った時の打力、スピード、読みは外国選手に引けを取らない。エースとして活躍してほしい」と期待を寄せた。重責を担う23歳の新エースも「全員がつないでくれたボールをただひたすらに貪欲に得点につなげたい」と意欲は十分だ。12年ロンドン五輪銅以来2大会ぶりのメダル獲得へ、中田監督は「伝説に残るチームをつくるために、本気と覚悟をかけて挑む」と力強く語った。

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2021年7月1日のニュース