三浦コケても男子3000障害日本新!優勝で五輪切符、順大2年の19歳「満足」

[ 2021年6月27日 05:30 ]

陸上・日本選手権兼東京五輪代表選考会第3日 ( 2021年6月26日    大阪市・ヤンマースタジアム長居 )

男子3000メートル障害決勝で水しぶきを上げて疾走する三浦龍司(撮影・北條 貴史)
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 男子3000メートル障害決勝は日本記録保持者の三浦龍司(19=順大)が、終盤の転倒をものともせず、自身の記録を1秒47上回る8分15秒99で初優勝を飾り、東京五輪代表を決めた。2位の山口浩勢(29=愛三工業)3位の青木涼真(24=ホンダ)も条件を満たして代表入りした。女子100メートル障害は寺田明日香(31=ジャパンクリエイト)が13秒09で11年ぶり4度目の優勝。参加標準記録には届かなかったが、代表入りに前進した。

 “サンショー”の申し子がついに五輪切符を手に入れた。誰もが緊張する選考会で、19歳の三浦はリオ五輪5位相当のタイムをマークし「日本新で五輪を決められた。凄く満足したレースでした」と大器の片りんを見せた。

 規格外の男だ。7回越える水濠(すいごう)のうち、6回目で着地のタイミングが合わず転倒。転んだ隙を突かれて3位に転落し「一瞬頭が真っ白になった」。しかし「最後1周だったので、すぐ起き上がらないと」と直後に2人を抜き去り、漫画のような激しいスパートで後続を突き放した。いとも簡単に自身が5月に出した日本記録を1秒47短縮した。

 三浦自身も「マイナー競技」と自嘲気味に話す3000メートル障害。その素質は小学校時代から磨かれてきた。本格的に取り組んだのは洛南高入学後だが、陸上は小学1年から島根県浜田市内のクラブで始めた。2種目以上に取り組む方針のもと、三浦が選んだのは偶然にも「サンショー」に必要な要素を含む長距離と80メートル障害だった。学年ごとに高さの違うハードルを設定した練習も三浦はあえて高いハードルに挑戦。4年生ごろには浜田市記録を塗り替えるなど実績を残しつつあった。

 転んでもスパートを掛けられる無尽蔵のスタミナも小学校時代から健在。ロードレースでは小学3年時に6年生と同着でゴールしたほか、浜田市内で行われた縄跳び競技では二重跳びを10分間跳び続けて優勝。大人でも難しいその記録は今でも小学校記録として残っているという。

 恵まれた才能を生かし、東京五輪では「予選から日本記録更新を狙う」と宣言。3000メートル障害が陸上競技のトップバッターを務めるだけに「(競技の)認知度は上がったといえまだマイナー。魅せる走りでもっと盛り上げたい」。メダル獲得で日本中にアピールする。

 ◇三浦 龍司(みうら・りゅうじ)2002年(平14)2月11日生まれ、島根県浜田市出身の19歳。小学1年から陸上を始め、浜田東中ではジュニア五輪などに出場。京都・洛南高では19年インターハイ3000メートル障害で2位。20年10月の箱根予選会では1時間1分41秒で大迫傑のハーフマラソン20歳以下日本記録を更新。今年5月の東京五輪テスト大会で8分17秒46を出し18年ぶりに日本記録を更新した。1メートル67、55キロ。

 《山口と青木も決めた》2位の山口、3位の青木の2人も参加標準記録を突破して五輪代表に決まった。山口は転倒からすぐに起き上がる三浦が見えたといい「最後の1周までラストスパート争いに加わりたいと思っていた」と食らいついた。ゴール後にタイム表示がすぐに出ずにやきもきしたという青木は「夢がかなった。凄く熱いものがこみ上げてきた」と涙をこらえた。

 ◇山口 浩勢(やまぐち・こうせい)1991年(平3)8月19日生まれ、愛知県出身の29歳。男子3000メートル障害で17、19年アジア選手権5位。18年アジア大会は9位。20年日本選手権初優勝。愛知・惟信高、城西大出。愛三工業。1メートル72、61キロ。

 ◇青木 涼真(あおき・りょうま)1997年(平9)6月16日生まれ、埼玉県出身の24歳。男子3000メートル障害で全国高校総体8位。20年日本選手権3位。東京箱根間往復大学駅伝に4年連続で出場し、2年時に5区で区間賞。埼玉・春日部高、法大出。ホンダ。

 ▽3000メートル障害 障害物を28回、水濠を7回越えながら3000メートルを走り、タイムで争う。日本では「サンショー」と略して呼ばれることもある。障害の高さは男子91・4センチ、女子76・2センチ。手を掛けても問題ないが、外側を通ったり、下をくぐると失格となる。世界記録は7分53秒63。

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2021年6月27日のニュース