大坂の会見拒否 メディアにも非はあるが…プロとしての責任果たすべき

[ 2021年5月28日 05:30 ]

大坂なおみ(AP)
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 【記者の目】テニスでは大会期間中にファンサービスや報道陣への対応などに関する細かい規定があり、違反すると罰金を科される。プロ選手はファン、スポンサー、メディアなどに支えられている発想から生まれたシステムで、コート外の丁寧な対応が競技の発展を後押ししてきた側面もある。確かに試合のたびに同じ趣旨の質問をしたり、プレー以外の発言を過度に求めるメディア側の非はある。心身ともに疲弊した敗戦後に会見を開く負担も理解できる。それでも、コートインタビューや試合後の会見は大会の魅力を高めるコンテンツの一部であり、プロである以上は自らの口で思いを語る必要がある。4大大会では1回戦敗退でも高額賞金(今季全仏は1回戦敗退で6万ユーロ=約800万円)が支払われるだけに、“負けたから会見を開かない”は通らない。

 大坂は会見でウイットに富んだ発言をし、報道陣と笑顔でやりとりする場面も多い。前哨戦のイタリア国際でラケットを破壊して非難を浴びている中での会見拒否表明は疑問視せざるを得ない。昨年の全米オープンでは人種差別に抗議して注目を浴びた。発信力があるだけに、唐突なSNS表明ではなく、主催者側と協議を重ねた上で慎重に決断する自覚もほしかった。(テニス担当・木本 新也)

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