内村航平「めっちゃ見てみたい」羽生結弦の4回転半に期待

[ 2021年4月22日 05:30 ]

羽生結弦(左)と内村航平
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 体操男子の個人総合で五輪を連覇し、種目別の鉄棒で東京五輪を狙う内村航平(32=ジョイカル)が、21日までにスポニチの取材に応じた。刺激し合うフィギュアスケート男子で五輪連覇の羽生結弦(26=ANA)は、世界初成功となるクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)への挑戦を続けている。内村がH難度「ブレトシュナイダー」を習得する過程で明かした言葉と、そこにある知見「言と知と」。それは、羽生の超大技成功のヒントになり得る。

 上下軸で横に回る。体操では「ひねり」となり、フィギュアではジャンプの「回転」。体操で「ひねり」が最も多いのは、床運動で白井健三の名がつく「シライ/ニュエン」(後方伸身宙返り4回ひねり)。内村は羽生が挑んでいる4回転半に、尊敬の念と期待を込めた。

 「体操より、ひねってますから。ありえないっすよね。でも、羽生君なら、僕はできると思っている。成功したら、めっちゃ見てみたいな」

 羽生は3月28日に気になる言葉を残している。「アクセルを練習していく中で“ああ、跳べないな”とか絶望感を味わった時に、どうやって乗り越えていくか。どうやって自分に頑張っているっていう報酬を与えてあげるか」。4回転半に挑み続ける、オフを見据えてのコメントだった。

 鉄棒に専念した内村は、30歳を過ぎてH難度「ブレトシュナイダー」を習得した。その過程は、いばらの道だったのではないか。先の羽生の言葉を聞いた内村は、少し考えてから口を開いた。
 「できない方が面白いんすよね、自分。欲しいものを実際に買ったら“う~ん”ってなることってあるじゃないですか。買うまでが楽しい、みたいな」

 長いキャリアで、いざ手にすると想定より魅力に欠けた技があったのだろう。では、執念を燃やした「ブレトシュナイダー」は。

 「ブレトシュナイダーはできるようになったら、めっちゃうれしかったですよ。うん、めっちゃうれしかったな」

 内村は過去、羽生について「こうした方がいい、とかは思わない」と話した。アドバイスではなく、シンプルに自らの経験を口にする。そこには羽生にとって、何かのヒントが存在しているのかもしれない。

 内村は「ブレトシュナイダー」を決めた全日本選手権で高得点を連発し、代表選考を好発進した。羽生は世界国別対抗戦でシーズンを締めくくり、4回転半の実戦投入を見据えて、また汗を流す。「ケガには気をつけてほしいですね」と内村。それぞれの究極の目標へ。「夏の王」と「冬の王」の情熱は交錯しながら、季節は巡っていく。

 ▽内村とブレトシュナイダー 個人総合を戦っていた18年から本格的に練習に取り組んできた。実戦で初めて披露したのは鉄棒に専念してから初実戦だった20年9月の全日本シニア選手権。この試合を含め、今月の全日本選手権まで6連続で成功している。

 ▽羽生と4回転半 連覇を達成した平昌五輪以降、成功に意欲を燃やしてきた。19年12月のGPファイナル(トリノ)の公式練習で挑戦して3度転倒。今月の世界国別対抗戦(大阪)のエキシビション練習では6度転倒したが、練習に挑む姿を国内で初めて披露した。

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2021年4月22日のニュース