アーチェリー・パラ日本代表、仲喜嗣氏死去 東京大会延期で初出場幻に

[ 2021年2月10日 05:30 ]

 パラアーチェリーの大会でプレーする仲喜嗣さん。左は見守る妻の奈生美さん
Photo By 共同

 東京パラリンピックのアーチェリー日本代表に内定していた仲喜嗣(なか・よしつぐ)氏(日本連盟)が7日に亡くなったと日本身体障害者アーチェリー連盟が9日に発表した。60歳。死因は公表していないが、新型コロナウイルス感染によるものではないという。

 31歳で筋萎縮などが生じる難病「AAA症候群」を発症して手足の自由を奪われた仲氏は、45歳から車いすで競技を開始。2年で日本ランク1位となったが、08年北京から目指したパラリンピックへの道のりは遠かったが「病気の進行もある。(東京の)次なら年も取る。全てを振り絞って」と東京大会で悲願の内定を勝ち取った。しかし、新型コロナの影響で延期となり「気を取り直して頑張る」と語っていた夢舞台に立つことはなかった。

 仲氏は昨年11月から体調を崩して療養。東京パラ代表の上山友裕(33=三菱電機)は「コロナで合宿も自由参加。仲さんが来なくてもおかしいと思わなかった。亡くなるなんて」と衝撃を受けた様子。「息子のようにかわいがってもらっていた。親子くらい年が離れていたが、面白くて友達みたいな感じ」と回想した。仲氏が内定した19年世界選手権を振り返り「決めた瞬間に僕の前に来て、今まで見たことがないくらいの笑顔で両手で力強く握手してくれた。今でも忘れられない」と別れを惜しんだ。

 ▼東京パラ女子代表・重定知佳 17年から競技を始めて新入りでしたが、娘のようにかわいがってくれました。仲さんが出られない国際大会で、時差があってもリアルタイムで見て「頑張れ」と連絡をくれました。そういう人はなかなかいない。ありがたい存在でした。

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2021年2月10日のニュース