羽生結弦 5年ぶり日本一!初披露「天と地と」異次元ノーミス“今季世界最高”319・36点

[ 2020年12月27日 05:30 ]

フィギュアスケート 全日本選手権第2日 ( 2020年12月26日    長野市ビッグハット )

背中に翼…新プログラム「天と地と」を披露する羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 男子フリーが行われ、14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(26=ANA)は新プログラム「天と地と」を披露し、国際スケート連盟非公認ながら自己ベストを上回る215・83点をマーク。前日のSP、フリーともトップで、参考記録ながら今季世界最高得点となる合計319・36点とし、5年ぶり5回目の優勝を果たした。来年3月の世界選手権(ストックホルム)出場が決まった。

 演技を終えた羽生は、しばらく天を見つめていた。「戦い抜けたな」。コロナ流行前とは違い、プーさんシャワーはない。拍手に応えるように一瞬だけ笑みを浮かべ、4方向にお辞儀した。最後は右手の人さし指を突き上げた。フリーで演じたのは群雄割拠の戦国時代、武将・上杉謙信をテーマにした大河ドラマ「天と地と」。令和の“軍神”が降臨した。

 水色基調の着物風衣装を身にまとい、決戦に勝った。冒頭の4回転ループを鮮やかに決めると、続く4回転サルコーも成功。高難度のジャンプを決め、独壇場となった。全ジャンプで大きな加点を引き出し、表現力を評価する演技点でも2位以下を引き離した。

 非公認記録ながら19年10月のGPスケートカナダでマークした212・99点を上回るフリー“自己ベスト”。国内大会の参考記録ながら、合計点は最大のライバル、ネーサン・チェン(米国)が10月のGPスケートアメリカでマークした299・15点を上回る今季世界最高得点だった。

 コロナ禍の苦しみを乗り越えた。試合に出られない中、国内外の選手の情報が入り、コーチ不在の練習も続いていた。「一人だけ取り残されている。一人だけ暗闇の底に落ちていくような時期があった。一人でやるのは嫌だ、辞めようとも思った」と明かす。得意の3回転半すら跳べなくなった時期もあった。だが、周囲の支えに助けられた。コーチたちにメールやビデオを送って助言を受け「頼ることができた」と振り返る。10月末を底に、少しずつ状態も上向いた。

 ある日、かつてのプログラム「春よ、来い」と「ロシアより愛を込めて」を滑ると、スケートへの思いが再燃した。「ちょっと前に踏み出せた」。振り返れば、ケガを乗り越えての五輪連覇などいろいろな経験をしてきた。自らが歩んできた道を信じ、一人で練習を継続。「ベテランらしく、ちょっといい演技ができた」とジョークめかして笑った。

 5年ぶり5度目の優勝を果たし、世界選手権切符を獲得。再び日本一の称号を獲得した男は、2つの新プログラムを携え次は世界一を狙いにいく。

 ▽「天と地と」 海音寺潮五郎の同名小説を原作とした69年のNHK大河ドラマ。越後の戦国武将・上杉謙信(石坂浩二)が主役。最大のライバル甲斐の武将・武田信玄(高橋幸治)との対比を中心に動乱の時代の人間模様を描いた。終盤の「川中島の戦い」のシーンが有名で、舞台となった川中島古戦場は会場のビッグハットから約4キロと近い。平均視聴率25・0%、最高視聴率32・4%。故・冨田勲さんが作曲したテーマ曲は琵琶などの和楽器を使用し、冬の越後をイメージしたもの。

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