【高校ラグビー開幕直前連載】西陵の名を再び全国に! 花園初開催63年出場の古豪に部員不足の影

[ 2020年12月22日 07:00 ]

花園今昔物語(1)花園と伝統校

西陵・平野主将(下段左から3人目)ら3年生は96年度日本一の記念碑の前で健闘を誓った
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 第100回全国高校ラグビー大会が27日に花園ラグビー場(大阪府東大阪市)で開幕する。大会の歴史に触れながら、「変わったこと、変わらないこと」を4回にわたって取り上げる。第1回は「花園と伝統校」。1996年度Vの西陵(愛知第2)にも、部員不足の影が押し寄せる。花園で大会が初開催された63年にも出た古豪が8年ぶり40度目の舞台で成し遂げたいこととは?

 西陵部員を見守るように、励ますように、グラウンドを向いて石碑が立てられている。西陵商時代の96年度の日本一を記念したものだ。フッカー平野叶苑主将(かえん、3年)は「毎日目にします。伝統を感じます」と背筋を伸ばす。石碑が、00年代生まれの現役に全国制覇の誇りを植え付けているようだ。

 愛知第2代表を意地でつかんだ。決勝後半は無得点。名古屋に押されながら、体格が武器ではないメンバーが体を張って17―12で逃げ切った。突破役を担った平野は三兄弟の末っ子。OBの兄2人の夢をかなえた。

 フィフティーンがよく走れたのは、「女子高生トレーナー」の存在がある。山田和正監督(53)が今秋、陸上経験者の井並紗那さん(2年)を“ヘッドハンティング”。過去にレスリングや相撲の要素を取り入れてきたように、他競技のエッセンスを練習に加えた。井並さん考案のメニューを毎日、選手が取り組む。「選手の足が速くなったんだよ。効果絶大」。黒地にオレンジのジャージーと土のグラウンドは変わらなくても、さまざまな手法で部員の力を引き出している。

 100回を迎える大会が花園で開催されるようになったのは63年からだ。その「花園第1回」に出て、今回も出る学校は、西陵、全国V2度の盛岡工(岩手)、熊野(和歌山)、新田(愛媛)の4校しかない。いずれも、全国が遠のきがちな学校だ。

 西陵も近年、中部大春日丘に押され、7年間全国を逃した。公立校ゆえの部員集めの難しさがあり、3年生が抜ければ、2年生10人、1年生3人の計13人になる。新人戦は、単独で出場できない。

 「中学生が、西陵で頑張ろうという進路の選択肢になってくれるかもしれない。ウチには死活問題。花園にかけている」

 母校を率いて15年目の山田監督の言葉に力がこもる。96年度の全国制覇は、元日本代表の父・耕二さん(78)が監督だった。父の実績や学校の伝統が「自分を後押ししてくれる」と指導に情熱を注ぐ。初戦は28日の高知中央。西陵の名前をとどろかせる戦いが始まる。(倉世古 洋平)

 ※花園出場の全63校選手名鑑は、スポーツニッポン大阪版12月26日付紙面で掲載予定。遠隔地の方も、ヤフーショッピングで購入できます。

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