昨年のウインターカップ決勝の再現 福岡第一が前年王者の貫禄で優勝

[ 2020年11月4日 05:30 ]

福岡県高等学校バスケットボール選手県大会   福岡第一88―61福大大濠 ( 2020年11月3日    アクシオン福岡 )

第4Q、ドリブルで攻め上がる福岡第一のハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニア(撮影・岡田 丈靖)
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 “同県対決”となった昨年のウインターカップ決勝で全国の頂点に立った福岡第一と準優勝した福大大濠が決勝で激突。全国が注目した一戦は福岡第一が前年王者の貫禄をみせた。

 新型コロナウイルスの影響でインターハイも中止となり、両校が対戦するのは1月の新人戦以来、3度目。新人戦では地区予選で福大大濠が勝利、続く県大会は福岡第一が制しており、1勝1敗の五分でこの日の対戦を迎えた。

 ゲームは序盤から激しいターンオーバーの連続。素早く攻守が切り替わる中、互いに強いプレッシングでゴール下への侵入を許さず簡単にシュートを許さない。ボール奪取の応酬の中、前半は4本の3Pシュートを決めた福岡第一が37―29でリードして折り返した。

 後半の第3Qに入ると、開始から福大大濠が鋭い出足からボールを奪う場面が増え、連続得点で8点差を跳ね返し37―37の同点に追いつく意地をみせた。しかしここからハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニア(3年)を中心に福岡第一が攻守のギアをアップ。砂川琉勇(3年)の3本の3Pシュートなど一気に得点を重ね、63―43と大濠に20点差を付けて最終第4Qに突入した。

 第4Qでも福岡第一の勢いは止まらず、主将の松本宗志(3年)が4本の3Pシュートを沈めてみせると、圧倒的な走力を武器にした速攻やコンビプレーから次々と得点を奪い、88―61で大濠を降した。

 12月23日から東京で開催される高校日本一を決める「ウインターカップ」(WC)には福岡県から2校が出場できるため、両校ともに全国の舞台に立つことが決定している。

 3連覇が懸かるWCへ弾みをつける優勝を果たした福岡第一の井手口孝コーチは「僕よりも子供たちのほうが何としても勝ちたいと思っている」と選手たちを頼もしそうに見つめ「また全国の決勝で大濠とやりたい」と宿敵との頂上決戦での再戦を熱望。コロナ禍でインターハイの中止も経験し「試合ができたことがうれしい」と大会の開催にしみじみと謝意を述べていた。

 松本宗志主将(3年)は「試合の経験が少なくて緊張した」と苦笑いを浮かべたように、序盤は体が動かず早い時間帯で2ファウル。前半はベンチの時間が長くなったが「3年生が頑張っている姿を見てこれじゃダメだと思った」。気合いを入れ直し、最終第4Qでは4本の3Pシュートを決める活躍をみせた。全国大会へ向け「自分たちは入りが悪いので最初からトップギアで入れるようにチームを作る」と課題も見つかった中「去年に負けないように第一のバスケをみなさんに見せたい」ときっぱり。伝統の“守って走るバスケ”を極め、全国の頂点に君臨した偉大な先輩たちに続く3連覇に挑む。

 ○…福大大濠は8点差で迎えた第3Qに連続得点で同点に追いつく意地を見せたが、その後ギアを上げた相手に突き放された。片峯聡太コーチは「持ちこたえるところで崩れてしまったのがうちの弱さ」と悔やしさを露わにした。一方で「去年とは違うバスケをしているのでまだまだ発展途上」と手応えも感じており、昨年準VのWCへ向けて「目の前の試合を大事に戦うこと、ゲームの中でいかに成長するかが重要になってくる」と話した。平松克樹主将(3年)は「悔しい。同点になってからの相手の勢いを止められなかった」と唇をかんだ。相手DFの強烈な圧力はあったものの、チーム全体でシュートの正確さを欠く場面も目立ち「本番までにシュート力を磨いてチームコミュニケーションも高める」と気を引き締めた。「第一は必ず決勝に上がってくる。自分たちも勝ち上がって第一を倒して日本一になりたい」。全国の舞台で宿敵に雪辱を果たすことを誓った。

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2020年11月4日のニュース