トラック男子オムニアム代表・橋本英也 親子のペダル物語 メダルで映画化!?「やりましょう!」
2020+1 DREAMS
【THE STORY】男女合わせて22種目でメダルを争う自転車競技は、多士済々だ。トラック男子オムニアム代表の橋本英也(26=日本競輪選手会)は、父の書いたスポーツ小説の主人公となった異色のアスリート。メダル獲得を目指す東京五輪への道のりを紹介する。
オムニアムでメダルを狙う橋本には、珍しい過去がある。父・一二三さん(59)が上梓(じょうし)した2冊のスポーツ小説に実名の「英也」として登場するのだ。フィクションではあるが、幼少期と高校時代の出来事が題材となっているという。橋本は「こんなの書いていたんだと…。万人受けする内容ではないですが、懐かしい思い出がよみがえる感じ」と笑う。
東京五輪への道も、小説さながらの筋書きだった。13年9月に東京五輪開催が決定。鹿屋体大在学時の当時、既に中距離界のエースだった橋本は「体に電気が走った」と懐かしむ。「そこでメダルを獲るために、まずリオに出ないと!」。だが、16年リオ五輪の代表選考は落選。その後の半年間は抜け殻となった。趣味で200キロをツーリングできたはずが、自転車に乗っても自宅の周辺を回って帰ってきてしまう。「自分の居場所がなくなった。自我がなくなって苦しんだ」と振り返る。
時間とともに、五輪への思いは再燃する。その第一歩として17年に競輪学校の門を叩いた。競輪で身に付けるスピードが、中距離の強化にも生きると考えたからだ。頭を丸刈りにして再出発すると、超一流の競輪選手だった滝沢正光校長に厳命された。「学校記録を更新することが東京五輪へのスタートだ!」。努力を続けた橋本は、30年塗り替えられなかった“レジェンド”神山雄一郎が持つ3000メートルの学校記録を2秒近く更新。3分33秒32の衝撃的なタイムを叩き出し「凄い自信になった」と手応えを得た。
現在は競輪をベースに、ロード種目にも参戦。トラックを含め「3足のわらじ」で強化を進めている。4種目の合計で競う本職オムニアムではアジア選手権3連覇、W杯でも表彰台に立つなど成長を続けている。「最初の3種目を全部5位以内で走ることで、最後の種目でメダルの色争いに絡める」とレース展開を思い描いている。
実は、父・一二三さんは親子の「自伝」を書く構想があり、映画化も狙っているという。「ははは、やりましょう!映画化してハリウッドに…」と橋本。現実は小説よりも奇なり、となるか。東京の先に、未知の世界が広がっているかもしれない。
《作品通じエール》父・一二三さんはペンネーム「走一二三(そう・ひふみ)」として趣味で執筆活動を行っている。橋本が登場するのは「誕生日プレゼントは表彰台」と「俺たちは風になる!」(ともに文芸社)の2作品。「俺たちは…」は全国高校総体の団体追い抜きを題材としており、一二三さんは「スポーツには人間模様がある。その種目の醍醐味(だいごみ)を分かるように書いている。読めば面白いですよ」と話し、作品を通じて息子を応援している。
▽オムニアム トラック中距離の複合競技。(1)スクラッチ=男子10キロ、女子7・5キロの距離で着順を争う(2)テンポレース=周回ごとに先頭の選手にポイント(3)エリミネーション=周回ごとに最下位の選手が脱落(4)ポイントレース=周回ごとの順位でポイントを加算、の4種類のレースで構成される。1日に全種目を行い、ポイントの合計を競う。
◆橋本 英也(はしもと・えいや)1993年(平5)12月15日生まれ、岐阜市出身の26歳。トライアスロンやラグビー、空手などに親しみ、岐南工から自転車競技を始める。10、11年の全国高校総体の団体追い抜き(パシュート)連覇。11年には個人パシュートと2冠。鹿屋体大1年時の全日本選手権では4キロ個人パシュートで4分30秒441の日本新記録で優勝。オムニアムは世界選手権19年7位、20年11位。1メートル80、77キロ。
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