【高岡寿成の目】大迫、一番苦しい時の我慢が32キロ地点の逆転呼んだ

[ 2020年3月2日 08:15 ]

東京マラソン ( 2020年3月1日    東京都庁前~東京駅前 )

先頭集団の中に入り、富岡八幡宮前の折り返し地点を走る大迫(撮影・河野 光希)
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 スタートからの速いペースは大迫の持ち味で、序盤からうまくレースの流れに乗れていた。しかし、23~24キロで先頭集団のペースが一気に上がり、まず大迫が、続いて井上も先頭から遅れてしまった。その時点では1人で走る大迫よりも集団の中にいる井上の方が有利なようにみえた。

 早々と先頭から遅れ、大迫は体力的にはもちろん、メンタル的にも相当きつかったはずだ。だが、そこで諦めずに必死に粘った。マラソン選手には必ずレース中にきつくなる場面がある。そこで我慢できるかどうかが勝負を決める。我慢できればいずれ楽になるが、諦めれば二度と追いつくことはできない。大迫は必死に粘り、これ以上離されたら追いつけないという許容範囲ぎりぎりのところで踏みとどまった。今度こそ絶対に日本記録を破る、五輪に出るんだという強い気持ちがあったのだろう。一番苦しい時に我慢できたことが32キロすぎの逆転劇を生み、3枚目の五輪切符をたぐり寄せる最大の要因となった。

 井上も最後は崩れたものの、終盤までの走りは見事だった。設楽は積極的に前に行くのが彼のスタイルであり良さだったはずなのに、刻んでいく走りで自ら持ち味にふたをする形になってしまったのは残念だった。

 日本記録が更新されたとはいえ、世界との差はまだある。日本勢はこれからどれだけいい準備ができるか。そして何より「自分たちならできる」という強い気持ちを持って五輪に挑んでほしい。(男子マラソン元日本記録保持者、カネボウ陸上部監督) 

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