ラグビー日本代表 W杯は総力戦 選ばれなかった選手も“気持ちを切るな”

[ 2019年8月30日 09:00 ]

W杯メンバー31人を発表するジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(撮影・篠原岳夫)
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 ラグビーW杯日本大会に出場する日本代表メンバー31人が発表された。4年に一度のひのき舞台。少なくとも現役として迎えられる日本でのW杯は、今の現役選手にとっては一生に一度だろう。晴れの31人と、前日まで網走合宿に参加していながら選外となった10人。そのコントラストは残酷だ。

 外れた10人の選手は今、何を思うだろうか。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが会見で名前を出した山田や立川、内田はすでに日本を出て、海外で牙を研いでいる。彼らは6月の宮崎合宿前に選外となった分、すでに気持ちを切り替え、前に進んでいるに違いない。だが不測の事態でバックアップとなるこの10人には、気持ちを切り替える十分な時間が残されていないまま、W杯の開幕を迎えることになる。

 指揮官が悩みに悩んで選りすぐった31人が、W杯を最後まで完走するに越したことはない。それでも過去の大会を振り返れば、不測の事態は起こり得る。4年前、15年W杯メンバーが発表される約1カ月前、真壁伸弥に聞いた言葉を思い出した。

 「11年は落選して、一回(気持ちを)切っちゃったんですよね、完全に。それが失敗だった。よく考えたらW杯はケガ人がいっぱい出るから、そこで回って来る可能性がある。そういうことが、頭の中に入っていなかった。その時の悔しさは、今でも覚えています」

 最終選考前に代表を離脱した真壁。くすぶった気持ちを抱えたまま、所属であるサントリーに戻った。W杯と同時期に行われていた菅平高原での合宿中、真壁自身がケガをしたという。宿舎に戻ると、代表からチームに伝わっていたのは、追加招集されたとの報。同じロックのアイブスの左膝の状態が思わしくなく、入れ替わりでニュージーランドに呼ばれるはずだったが、千載一遇のチャンスを逃した。「死にたいと思いました」。その気持ちにうそ偽りはないだろう。

 ジョセフ・ヘッドコーチも網走合宿初日で、「合宿でケガは付き物。機会が回ってきた時に、しっかりゲームの準備ができていることが大事」と言った。万が一の時、新たに加わる選手が、まるで最初からいたかのように穴を埋めきれるか。W杯は総力戦。31人だけではない。日本ラグビー界の総力が試される44日間はやってくる。(阿部 令)

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2019年8月30日のニュース