山本 プロップ生き残りへ猛アピール W杯メンバー入りへ10日PNC米国戦“一発回答”だ

[ 2019年8月8日 05:30 ]

日本代表への思いを語る山本(撮影・吉田 剛)
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 ラグビー日本代表は7日、パシフィックネーションズ杯(PNC)最終戦となる10日の米国戦に向けて、ナンディで練習を行った。プロップ山本幸輝(28=ヤマハ発動機)は宮崎合宿中の6月下旬に左膝の内側側副じん帯を痛めて一時チームを離脱したが、今遠征から再合流。9月2日のW杯メンバー登録締め切り前では最後のテストマッチとなる一戦で、生き残りを懸けたアピールに臨む。

 チーム一のムードメーカーが帰ってきた。国内2戦までのPNCメンバー31人から、26人と人数が絞られた今回の遠征。その中で唯一、31人の外から新たに加わったのが山本だ。自然豊かなフィジーの山々を望む宿舎ホテルで取材に応じ、「全体練習はこっちで初めて入ったが、またみんなと一緒にできてうれしい。コンディションも凄くいい」とやや緊張の面持ちで語った。

 ケガした直後は大きなギプスで患部を保護し、わずか10メートルの距離を歩くのに10秒もかかった。W杯を断念してもおかしくない状況だったが、「やれるトレーニングをして下半身が安定し、上半身も鍛え直すことができた」と前向きにリハビリに取り組み、むしろパワーアップ。今大会から新ルールが適用されているスクラムについても、長谷川慎コーチが「思ったよりもちゃんと組めている」と太鼓判を押したほどだ。

 何よりも支えになっているのが、PNCメンバーを外れた選手で行っていた、トップリーグ・宗像サニックスでの調整合宿だ。参加していたのは山本にプロップ山下(神戸製鋼)らを加えた8人程度。連日ハードメニューをこなし、8人だけのLINEグループもつくって精神的にも支え合った。「凄くいい絆。今回僕が呼ばれて、メンバーのみんなが祝福してくれた」。“宗像組”の代表者として、米国戦は必ず存在感を発揮する覚悟だ。

 チームソング「ビクトリーロード」の歌詞制作や、練習終了時の手締めの考案など、チームを盛り上げることに関しては右に出る者がいない。あとは左プロップの位置に居場所を確保できるか。一発回答で生き残りに懸ける。

 ▽W杯の左プロップ争い 背番号1の筆頭候補が、15年W杯を経験しPNCでも2試合連続で先発出場している稲垣啓太(パナソニック)。チームのリーダーグループにも入っている主力で、W杯メンバー入りは当確と言える存在だ。稲垣を追うのがセットプレーの安定感に定評がある山本に、右ふくらはぎの肉離れでリハビリ中の中島イシレリ(神戸製鋼)。24歳の三浦昌悟(トヨタ自動車)も国内2連戦で安定したプレーを披露している。W杯メンバーの左プロップは2人ないしは3人の見込みで、今月下旬の網走合宿で最終的な絞り込みが行われる。

 ≪姫野「いいチャレンジ」≫2試合ぶりの先発を目指すフランカー姫野(トヨタ自動車)は「(米国は)大きくて組織的なところもある。いいチャレンジができる」と15年W杯1次リーグ最終戦以来となる米国戦を楽しみにした。母マウデさんを亡くしたジョセフ・ヘッドコーチは9日に再合流の予定で、今週は選手主体で試合へ準備中。マイナスの影響は全くないようで「選手一人一人がああしよう、こうしようと意見を出してくる。選手全体の主体性が出ている」とチームの成長を感じていた。

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2019年8月8日のニュース