ラグビー日本 本番前哨戦で8年ぶり格上フィジー撃破 W杯8強いける!

[ 2019年7月28日 05:30 ]

リポビタンDチャレンジカップ パシフィックネーションズ2019日本ラウンド第1戦   日本代表34―21フィジー代表 ( 2019年7月27日    釜石鵜住居 )

<日本代表・フィジー代表>前半 トライを決める福岡(右)=撮影・久冨木 修
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 W杯イヤー初戦に臨んだ世界ランキング11位の日本は、同9位と格上のフィジーを34―21で破った。世界屈指の個のフィジカルとパワーを持つ相手に対し、日本は課題だったディフェンスで成長を披露し、一度もリードを奪われずに勝利。54日後に開幕する本番へ勢いをつけるとともに、2011年3月11日の東日本大震災で大きな津波被害を受けたラグビーのまちを勇気づけた。

 日本ラグビー界にとって特別な場所での、特別な年の初戦。その勝利の味は格別だった。3月に恥骨の炎症を発症した影響で、約7カ月ぶりの実戦となった主将のリーチは「タックルミスが多かった」と個人のプレーには不満げも、「このチームだけでなく、日本ラグビー(界全体)の成長を感じた」と確かな手応えを口にした。

 過去の対戦成績は3勝14敗。ピッチを縦横無尽に走り回るフィジーの自由奔放なアタックに手を焼いてきた。だが前半23分には相手顔負けの素早く奔放なパス交換でCTBラファエレのトライを生むなど、前半だけで4トライを奪って8年ぶりの勝利。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)も「前半はかなりプレッシャーをかけられた。高い強度の中、集中したプレーができた」と称えた。

 プレッシャーをかけられた理由は6、7月の宮崎合宿で磨きをかけた防御にある。隣同士で連係を図り、鋭い飛び出しでボール保持者に襲いかかる。オフロード(タックルを受けながらのパス)に優れるフィジー対策のために、ボールに直接絡みに行くスキルも磨き、何度もノックオンを誘った。プロップ稲垣も「ミスを誘えた手応えがある。ラインスピード、立ち位置、コミュニケーション、タックルに入る部分。そういうのが機能した」。前半のボール保持率は日本が約70%。相手の攻撃時間を減らせたことが最大の勝因だ。

 かつて新日鉄釜石の日本選手権7連覇に沸いた釜石は8年前の震災で甚大な被害を受けた。だが市民が日常生活を取り戻していなかった同年には会場招致の機運が生まれ、14年7月に正式表明。夢を実現した人たちの苦労を、リーチは前日ミーティングで語った。

 スライドに映したのは英国の聖地トゥイッケナム競技場の写真。「(8万人超収容の)トゥイッケナムとこのスタジアム、どっちでプレーしたいか。みんな、こっちでプレーしたいと」。釜石のために白星を届ける。以前はシーズン初戦で凡戦を繰り返したが、最高のマインドセットで実力を発揮した。

 4年前は1勝3敗だったPNCを経てW杯で3勝1敗。前哨戦の結果が本番に直結するわけではないが、開催国として臨む今回の1勝が日本列島の関心を引き付け、自分たちの背中を後押ししてくれるはず。ジョセフHCも「W杯へいいテストになった。(次週の)トンガ戦も期待したい」と連勝を期した。

 ▽パシフィックネーションズ杯(PNC) 06年に第1回大会を開催。出場国、大会方式は固定されておらず、今年は日本、フィジー、サモア、トンガ、米国、カナダの6カ国が参戦。今大会はフィジー、米国、トンガがA組、日本、カナダ、サモアがB組に分かれ、各チームが別組の3チームと戦い、勝ち点で順位を争う。勝ち点は勝ち4、引き分け2、負け0。勝敗に関係なく4トライ以上挙げた場合と、敗れても7点差以内の場合、ボーナス勝ち点1が与えられる。

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