浮き彫りになったラグビー日本協会の国際交渉力の欠如…事態は最悪の方向に

[ 2019年5月20日 12:31 ]

昨年11月、イングランドとのテストマッチでのラグビー日本代表
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 事態は最悪の方向に進もうとしている。日本ラグビー協会がW杯後の代表強化の根幹として頼みにしていた「ネーションズ選手権」。22年からの隔年開催を目指している国際統括団体ワールドラグビー(WR)だが、当初示していた日本を含む12カ国参加案を撤回し、欧州6カ国、南半球4カ国の計10カ国で開始する案が浮上している。日本が2部に回る、26年から12カ国に拡大するなどの案も浮上しているようだが、もはや全ての希望的観測は排除した方がいい。

 日本協会の複数の関係者は、ネーションズ選手権や南半球4カ国のラグビーチャンピオンシップへの参加要件が、スーパーラグビー(SR)参戦だったと話す。「ハイパフォーマンス部門」と呼ばれる代表クラスの強化策を示す必要があったにも関わらず、3月にはSRから20年限りで除外されることが決まり、これが“日本外し”の一因になったとみられる。改めて日本協会の国際交渉力の欠如が浮き彫りになった。

 残念ながら、国際的にはハイパフォーマンス部門の強化と認められていない日本のトップリーグは、22年から新方式に移行する計画が立てられている。先月には大会期間は1~5月、24チームを8チームずつの3部制に分け、ホストエリアを設定するなどの原案が示された。均衡した試合を増やすことで選手強化に資すること、リーグ自体の価値や魅力を高めることが大きな目的だが、実はその実現性すら雲行きが怪しいという。

 原案が示されたのは、4月25日のトップリーグ代表者会議後のメディア向けブリーフィング。発表したのは日本協会の河野一郎副会長と、このたびトップリーグチェアマンに就任した太田治氏だ。だが会議の出席者の1人は「原案自体、会議で初めて示されたもの。ブリーフィングでは発表しないことになっていた」と言う。昨年7月に行われたトップリーグ企業の経営者を集めた場では、今回の原案とは全く別の方向性が示されていたといい、この出席者は「翌朝、会社から“何だ、これは?”と連絡がきた」と話す。外堀も内堀も埋めずに、いきなり花火を打ち上げたようなもの。国際交渉力は欠如し、ステークホルダーからも不興を買う。まさに八方ふさがりではないか。

 WRは今週、ダブリンで会議を開き、ネーションズ選手権についての議論が交わされる。気がかりなのはこの他にも重要な議題があり、その一つにW杯に向けたエリジビリティー(外国人選手の代表資格)の判断が含まれること。W杯日本代表候補にも、5月20日時点で資格を有しない選手が複数いる。中には海外での治療や旅行などで、規定の在留期間が微妙な選手がいる。資格の可否は交渉力に掛かってくる。ネーションズ選手権の件も含め、日本協会にはね返す力はあるのか。出席者はWR理事でもある河野副会長と浅見敬子理事の予定。心許なく感じるのは、私だけだろうか。(記者コラム・阿部 令)

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