詩野 初代波乗り女王、抜群バランス16歳 9月WG代表内定

[ 2019年5月8日 05:30 ]

サーフィン ジャパンオープン最終日 ( 2019年5月7日    千葉県一宮町・釣ケ崎海岸 )

ジャパンオープン最終日 優勝し笑顔でポーズを決める松田(撮影・会津 智海)
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 3回戦から決勝が行われ、女子は松田詩野(16)が初代女王に輝くとともに、20年東京五輪の各大陸予選を兼ねるワールドゲームズ(WG=世界選手権相当、9月・宮崎)の代表に内定した。男子は昨年のWG代表でもある村上舜(22)が優勝し、2年連続の代表入り。今回の優勝者を含め、世界最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)に日本人で唯一参戦する五十嵐カノア(21)ら男女計6人が選ばれた。

 一気に上り詰めた日本の頂点から、444日後の東京五輪を視界に捉えた。栄えある初代女王の座に就き、浜に上がると白い歯をこぼした松田。「凄くうれしかった。優勝したい気持ちが強かったので」とはにかみながら、喜びを口にした。

 波の条件が良かった準決勝までは、全て合計11点以上を手堅くまとめた。午後3時ごろに始まった決勝は一転波が小さく、中塩にリードを許す展開に。それでも焦らず中盤に5・33点を出して逆転すると、残り3分は優先的に乗る権利を生かし、相手のライディングを阻止。パドルバトルと呼ばれる戦術をうまく利用して逃げ切り「競技中に(状況を)考えて動けたのは成長したところ」とうなずいた。

 持ち味とするのが、抜群のボディーバランスを生かしたサーフィンだ。リッピング(波の頂上でのターン)では、体を直角になるほど折り曲げて板を旋回。誰にもまねできない技は、180度開脚できるほどの柔軟性と強じんな体幹のたまもの。「小さい波でも体をひねってリップ(波の頂上)に板を当てられる」と、悪条件をはね返す力が松田にはある。

 16年8月4日、サーフィンが東京五輪の追加種目に決まった際は、日本連盟が主催した早朝4時台の会見に出席し、歓喜の知らせを聞いた。当時まだ13歳。だがはっきりと「五輪に出たい」と口にした。その後、連盟は日本オリンピック委員会(JOC)の加盟団体となり、選手強化費が支給されるように。海外遠征費の補助や、味の素ナショナルトレーニングセンターでの合宿を経験してきたジュニア世代の松田は、まさに五輪の申し子だ。

 「ワールドゲームズまで4カ月ある。スキル、パワーを付けて、ポジショニングも自分を信じられるようになりたい」。天井知らずの向上心が、若き女王をさらなる高みへと導く。

 ▽サーフィンの東京五輪代表選考方法 出場枠は男女とも各20人で、1カ国あたり最大各2人。男子の場合は、まず今年のCT上位10人が出場資格を獲得。残る10枠は(1)20年のWG上位4人(2)19年のWGの米国を除く4大陸の最上位者(3)19年のパンアメリカン大会優勝者(4)ホスト国枠1人。同一国の選手が各選考基準をクリアした場合のみ、3人が選ばれる例外がある。ワールドサーフリーグ(WSL)主催の世界最高峰がCTで、その下部に昇格を争う予選シリーズ(QS)がある。現在、日本人でCTに参戦するのは男子の五十嵐カノアのみ。

 【松田 詩野(まつだ・しの)】

 ☆生まれ 2002年(平14)8月13日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身の16歳。
 ☆きっかけ 両親の影響で6歳から。地元のスクールに通い、いきなりロングボードに立って「ハマった」。15歳でプロテストに合格。
 ☆スタンス グーフィーと呼ばれる、右足を前にしてボードに乗る体勢。レギュラーと呼ばれる左足を前にする選手よりも少ないため、競技では有利に働くことが多いとされている。
 ☆実績 16年に全日本選手権、WSL主催のQS1000を初制覇。昨年は千葉一宮オープンQS1000で優勝、世界ジュニア選手権U―16の部で準優勝。
 ☆スポンサー 身長1メートル57のかれんな容姿も魅力で、昨年にはトータルビューティーケアブランドとスポンサー契約。今年もミネラルウオーターと契約するなど人気急上昇中。
 ☆映像作品 17年には西野カナの新曲「Girls」と松田のドキュメンタリー映像のコラボ作品が公開された。

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