貴景勝、両親への思い独白 親父が幹として母が小枝として支えてくれた

[ 2019年3月27日 05:30 ]

大関伝達式を27日に控え、笑顔で取材に応じる貴景勝
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 大相撲の関脇・貴景勝(22=千賀ノ浦部屋)の大関昇進が、27日にエディオンアリーナ大阪で開かれる日本相撲協会の夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)番付編成会議と臨時理事会で正式に決まる。大阪市内で行われる昇進伝達式には貴景勝の両親も出席予定。新大関となる節目の日を前に、幼少期から二人三脚で歩んだ父・一哉さん(57)と陰で支えてくれた母・純子さん(52)に対する思いをスポニチ本紙に独白した。

 俺は一人っ子で、親父の期待は大きく、失敗できないという覚悟を背負って育ちました。兄弟もいなくて、これだけ目をかけられて普通の人間になったらそんな親不孝はない、と相撲を始めた小3から思っていました。

 親父は夜も仕事で、朝2時に帰宅しても4時半には一緒に出稽古へ行きました。トレーニングの時も全て親父が一緒。相撲界で成功できなかったら、俺はクソやなって。常にプレッシャーを感じてきたから、今そこまで緊張しないのかもしれません。

 よく親父から「持っている金のほとんどをおまえにかけている。これは親バカでやっているわけじゃない。将来、何倍にもして返せ」と言われました。俺という株に投資して「ごっそり配当をもらうのが、俺の狙いや」と聞いて、背負っているものの大きさを理解しながら生きてきました。

 母は相撲に一切、口を出さなかった。男の世界だと分かってるから。頑張れとも言わなかったけど、それが心地良かった。そういう一歩引いた女性がいいなと思っちゃいます。相撲以外も母が親父の上に出ることはないし、男同士の会話に口を挟むことも絶対になかった。体を大きくするために、めっちゃ料理もしてくれたし、登校前に毎日、牛乳2リットル飲むのも親父がいない時は、代わりに母がビデオ撮影。大変やったと思います。親父が一本の幹で支えてくれて、母に小枝で支えてもらっていた感じ。

 親父も、表に出たがらない母で良かったと思います。出しゃばる人だったら、俺の人生は違っていたかも。死ぬほど親父は厳しかったけど、エグいほど飯も食わされてきつかったけど、料理してるの誰だよ、飯食わしてくれたの誰だよ、と言ったら両親だし、感謝しかない。

 かごに洋服を入れたら洗濯ができていて、昼寝から目が覚めたら飯ができていて、初めて親元を離れて埼玉栄高に行ってから少しずつありがたみを感じるようになりました。やっぱり甘えやすい性格だから、今は彼女もつくらずに一人でありたいと思います。今は一人で、頑張りたい。何事もやってみたい。次の番付を目指して。(関脇・貴景勝)

 《口上「自分の考えを」》貴景勝はこの日、大阪府東大阪市の宿舎で報道陣に対応。昇進伝達式での口上については「ある程度、こういう言葉を入れたいというのはある」と、こだわりをチラリ。述べ方については「多少つまっても、自分の考えを言えたらいい」と自然体を強調した。一方で「大銀杏(いちょう)に紋付き(の正装)だからね。軽はずみなことは言えない」と責任感も漂わせた。印象的な過去の口上として琴奨菊の「万理一空」や、貴乃花の「不撓(ふとう)不屈」など四字熟語を使ったものを挙げた。平成最後の口上に四字熟語を入れるかどうかにも注目が集まる。

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