跳べ!東京五輪メダルへ 自信の戸辺「世界トップも見えてきた」

[ 2019年2月28日 05:30 ]

15年世界陸上時はダブルアームだったが、現在はシングルアームに変更(撮影・西尾 大助)
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 陸上男子走り高跳びで2メートル35の日本記録をマークした戸辺直人(26=つくばツインピークス)が27日、都内で練習を公開した。20日の試合以降、初めてとなる跳躍では2メートル20を成功させるなど調子の良さをうかがわせた。今季は16年リオ五輪金メダルに相当する2メートル40を目標に掲げ、世界選手権(9〜10月、ドーハ)での金メダルに向けてさらなる高みへ飛躍を続ける。

 はさみ跳びで体を慣らすと、美しいフォームの背面跳びで2メートルのバーを軽々と跳んでみせた。公開練習では1メートル90からスタートし、2メートル20までクリア。練習でのベストは暖かい時期にマークした2メートル28だといい、冬の屋外での跳躍に「この低温で跳べたのは良かった。20度を超えてきたらもう10センチは跳べるんじゃないですか?」と充実感を漂わせた。

 今月2日の欧州での室内大会で昨年マークした自己ベストを3センチ更新。2メートル35はリオ五輪の銅メダル相当で、日本記録を13年ぶりに2センチ塗り替えた。その裏には2つの変化があった。

 一つは踏み切りの腕振りをこれまでのダブルアーム(両腕)からシングルアーム(片腕)に変えた。両腕の勢いを生かせるダブルは力学的にも効率が良く、世界トップも採用している。戸辺は大学3年の2月からダブルアームを取り入れていた。ただ「踏み切りでどうしても体が浮いてしまった」と課題もあった。ダブルでの踏み切りは昨年8月末の試合が最後。帰国直後の練習でシングルに戻すと「凄く良かった」と好感触を得た。

 もう一つは助走の歩数。9歩や8歩など試合によって変えていた歩数を6歩に固定した。「会場によって変えるのは準備が必要で難しい。それなら6歩で固めようと思った」。少ない歩数のため助走スピードの調整に時間がかかったが「6歩にして正解」と“戸辺流”を確立させた。

 今季の目標には2メートル40を掲げる。リオ五輪金メダルの2メートル38を上回り、20年東京五輪は同種目日本初となる金メダルも現実味を帯びてくる。まだ空中姿勢に改善の余地があるといい「アイデアはある。姿勢だけで3センチは稼げる」と自信を見せた。

 この日発表された世界ランキングでは7位。今秋には世界選手権を控える。「世界トップも見えてきた。この勢いのまま突っ走りたい」と世界の頂点まで一足飛びだ。

 ▽走り高跳び 助走をつけて片足で踏み切ってバーを跳び越える競技。シングルアームは踏み切り足とは反対の手を上に伸ばす跳躍方法で踏み切りのタイミングが合いやすい。ダブルアームは踏み切り時に両腕を下から引き上げる跳び方で地面からの反発が得やすいことが特徴。現在、世界トップ選手の多くがダブルアームを採用している。

 ▽日本の跳躍種目 戦前は五輪でメダルを量産した。1928年アムステルダム五輪で三段跳びの織田幹雄が日本人初の金メダルを獲得。32年ロサンゼルス五輪では南部忠平が三段跳びで金、走り幅跳びで銅、西田修平が棒高跳びで銀。36年ベルリン五輪では田島直人の三段跳びの金など跳躍種目で計5つのメダルを獲得した。しかし、走り高跳びはメダル獲得者がいない。36年ベルリン五輪の矢田喜美雄の5位が最高で、同大会以降入賞者も出ていない。

 ◆戸辺 直人(とべ・なおと)1992年(平4)3月31日生まれ、千葉県野田市出身の26歳。筑波大3年時に日本選手権で初優勝(2メートル22)を飾った。18年7月にはイタリアの競技会で当時日本歴代2位となる2メートル32をマーク。ジャカルタ・アジア大会では2メートル24で銅メダル。筑波大大学院博士後期課程に在籍、博士論文のテーマは「走り高跳びのコーチング学的研究」。1メートル94、72キロ。

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