ラムズのヘルメットに「ツノ」を描いたのはクリスチャン・イエリチの曽祖父

[ 2019年2月2日 16:59 ]

ヘルメットにラムズのロゴをペイントするガーキー氏(C)Pro Football Hall of Fame
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 第53回NFLスーパーボウルは3日(日本時間4日)、米ジョージア州アトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムで、ロサンゼルス・ラムズ(NFC)―ニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC)が行われる。セントルイスに本拠を置いていた1999年シーズン以来、19季ぶりのスーパーボウル制覇を狙うラムズは1日、今週使用してきたアトランタ郊外のファルコンズの練習施設で最後の練習を実施。けがをしていた選手も回復し、ショーン・マクベイ監督(33)は「みんな戦う準備はできている。ペイトリオッツに敬意を払わないわけではないが、我々は勝つためにここに来ている」と話した。試合前日の2日は試合会場で最終調整を行う。

 ラムズのヘルメットにはラム(牡羊)の「ツノ」がデザインされているが、プロフットボールで初めてこのアイデアを思いついたのは元ラムズのRBフレッド・ガーキー氏(故人)だ。1918年生まれのガーキー氏はユタ大でフットボールをプレーし、専攻はアートだった。NFL入りし、40年代後半、ロサンゼルス・ラムズでプレーしている時に、ヘルメットに「ツノ」を描くことを思いついた。NFL殿堂の職員、ジェイソン・エイケンズ氏は「オーナーに見本を見せたら気に入って、リーグから許可をもらった。48年のシーズン前、ガーキーがチームの75個のヘルメット全てにペイントをした。50年代になると、他チームやカレッジのチームもまねるようになった」と経緯を説明した。

 彼の発案はそれだけではない。46年シーズンに3試合連続で鼻を骨折したことで自らフェースマスクを考え出し、47年に着けてプレーした。フェースマスクもすぐに、このスポーツでなくてはならないものになっている。ちなみに選手としては、45年のクリーブランド・ラムズ時代はランで平均6・3ヤード、パントリターンで平均15ヤードを走り、ともにリーグ1位。46年のロサンゼルス・ラムズではランで平均5・2ヤードは1位だった。

 選手としては殿堂入りするほどではなかった。一方でヘルメットに描いたロゴはチームの象徴となり、選手やファンの忠誠心、団結心を育んでいく。人々はロゴの入ったキャラクター商品を買い求め、身に着けるようになった。NFLはガーキー氏の功績を高く評価し、「プロフットボールのために顕著で革新的な貢献をした人」として72年にパイオニア・アワードの初代受賞者にしている。

 彼のひ孫が、2018年に打率・326、36本塁打、110打点の活躍でナショナルリーグのMVPに選ばれたMLBブルワーズのクリスチャン・イエリチ外野手。母方の祖父が日本人で、日系選手であることが知られているが、母方の祖母の父親がガーキー氏だった。イエリチは「曽祖父がNFLのために素晴らしい仕事をしたことは知っている。とても誇りに思っている」と話している。 (アトランタ・奥田秀樹通信員)

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