テニス楽天ジャパンOPの舞台裏〜錦織より細かいのはあの人?

[ 2018年10月6日 16:35 ]

楽天ジャパンOPのストリンガーを務める(左から)玉川氏、メンデス氏、バンジー氏、川端氏
Photo By スポニチ

 楽天ジャパン・オープンでは4年前からヨネックスが公式ストリンガーを務めている。世界中に700人いる同社のストリンガーチーム(バドミントンを合わせて)から、今大会は鳥取、群馬、フロリダ、ニューヨークから4人の精鋭ストリンガーが集まった。

 今年は会場がコンディション変化の少ないインドアということもあり、どの選手もテンションの調整はさほど苦労していない。それでも感覚派の西岡良仁なら最初に渡されたものにスムーズに合わせてくるし、ラオニッチなら毎日同じ時間に規則正しくラケットを出して取りに来る。そこにはそれぞれの個性が出る。

 すでによく知られた話ではあるが、錦織圭の要求はツアーでも特に細かい。今大会中もオンコートで「43ポンドで」とオーダーが来たと思ったら、それが張り終わらないうちに「やっぱり42ポンド」と変更が入ったりとストリンガー泣かせの一面は変わらないようだ。

 錦織の担当をしている玉川裕康氏は、鳥取のテニススクールで当時小学生の錦織と知り合い、ストリンガーとしてもリオ五輪や全豪オープンなどでサポートしてきた長年の付き合いである。ただし錦織には契約メーカーの専属ストリンガーもおり、基本的にはそちらで張られたものを試合で使っている。ただし試合中に張り替えに出す時に備えて、試合前にはわざわざストリンガールームにオンコート用のラケットを1本預けていくのだという。

 「圭も感覚派で、オンコートでどんどん張り替えに出してくるけど、普通はあんなに変えたら合わせられないですよ。“オンコート出すんで”と言ってラケットを置いていくけど、よく違う人が張って合うなと思う」

 ラケットの仕上がりはストリンガーによって千差万別。同じマシンを使っても張る人によって違い、メーカーの異なるマシンを使えばなおさら変わってくる。「ストリンガーならラケットを見て触ると分かるもの」(玉川氏)。錦織にはそうした誤差をのみ込み、手になじませる感覚の良さがあるのだろう。

 少し話は変わるが、選手でもないのに毎日ストリンガールームにやってくる人物が1人いるという。その人物は錦織の試合前に「ここにちゃんと1本預けてあるか?」とオンコート用のラケットが出されていることを確認し、それからコートへと向かう。玉川氏も「圭のギアの管理はかなり細かくやっているんだと思う」と苦笑いするほど。錦織よりも細かそうなあの人。そう、その人物とは誰あろうマイケル・チャンコーチである。

続きを表示

2018年10月6日のニュース