【松岡修造の目】もったいない…「ふわふわ」していた錦織 調子の良さが裏目に

[ 2018年6月4日 10:10 ]

テニス全仏オープン第8日 男子シングルス4回戦   錦織圭 2―6、0―6、7―5、4―6 ドミニク・ティエム ( 2018年6月3日    パリ・ローランギャロス )

男子シングルス4回戦でドミニク・ティエムに敗れた錦織圭(AP)
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 なんであんなにふわふわしちゃってたのか。もったいない。勝てた試合だった。それがもの凄く圭の心にもあるはず。ドローを考えれば、決勝まで行くチャンスは十分あった。

 確かにティエムは世界1位になれる選手。しかし浮き沈みが激しく、プレーの選択もまだまだ。大事なポイントで勝手にミスもしてくれる。圭も口にはしないが、今日のティエムがとんでもなく強かったとは感じていないだろう。だからこそ悔しい。

 3回戦のプレーが素晴らしかったので、おそらく圭は同じように「打てば入る」という“ゾーン”の感覚でプレーしようとした。本当に調子が良くて、感覚も戻ってきたからこそ、ドンドンいこうと。相手の弾むボールも一生懸命打ち返そうとするのでなく、タイミングで返そうとした。

 ただし、それにしては全然足が動いていなかった。ティエムの球は激しく弾む。それを手だけで合わせて返そうとすればするほど、どんどんおかしくなる。ストロークのタイミングは全て早くなり、打点が前にズレていた。普通は押されると後ろになるが、そうじゃない。だから圭に押し込まれている感覚はない。だが前にズレた分だけ球は軽く、コースは内側に入って甘くなった。バックのストレートを何度も打つけど、内側に入ってくればティエムのフォアの格好の餌食。最悪のパターンだった。

 前向きに捉えるなら、それだけ圭が戻ってきたということでもある。4大大会優勝のチャンスだという思いがなかったはずがない。ハングリーで自分への期待感を高めていた。その分だけショックな敗戦だった。(スポーツキャスター)

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2018年6月4日のニュース