白鵬、執念10連勝 高安に綱の威厳「出直してこい」

[ 2017年5月24日 05:30 ]

大相撲夏場所 10日目 ( 2017年5月23日    両国国技館 )

高安を寄り倒しで破る白鵬(手前)
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 白鵬が復活優勝へヤマを越えた。1敗で追走していた大関獲りの高安を執念で寄り倒し、無傷の10勝目。初日からの10連勝は37度目の優勝を飾った昨年夏場所以来で、優勝争いは栃煌山を下して全勝を守った日馬富士とマッチレースの様相を呈してきた。稀勢の里は琴奨菊に寄り切られ、4敗目を喫した。

 大関獲りの高安の壁となり、ねじ伏せた。好調の関脇を一蹴し、結びの一番を締めくくった白鵬は汗びっしょりで花道を引き揚げてきた。不覚を取った初場所の雪辱を果たし「自分の役目を果たしたという感じだね。また出直して来いと。一から稽古に励んで来るんじゃないかな」と息をついた。

 前回は高安のかち上げを食らい、防戦一方となった。「初場所のこともありますから」。今場所前には出稽古で高安に胸を出し「春場所前はピンと来なかったけど、場所前は動きが良かった」と警戒を強めた。用心していたのは立ち合い。その一方で、「立ち合いだけに頼っている感じがする」と感じていた。出はなをくじけば勝てる。その一点に集中した。

 強い当たりで上体を起こされた初場所の屈辱を胸に刻み、立ち合いは無理に相手に付き合わなかった。立って張り差しからヒラリと右へ動き、体を入れ替えて四つになった。「いいとこ取れた」。俵に詰めたが、投げを打たれて体勢を崩されると高安に密着して勝機を待った。「久しぶりに頭をつけた」。まわしを取られまいと小兵力士らが頭をつける攻防はよく目にするが1メートル92の横綱には珍しい光景だ。プライドを捨てて勝負に出ると、右をおっつけて最後は寄り倒した。

 「一番(大関に)近い男というのは間違いない」と認めた高安を退けて、賜杯奪還へまた一歩前進した。これで1敗の力士が消えて、優勝争いは日馬富士との一騎打ちの様相だ。ただ、第一人者は冷静だった。「一番一番。ギアはまだ上げていない」。1年間、優勝から遠ざかっていても落ち着き払っていた。

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