【玉ノ井親方の視点】さすが横綱白鵬　巧みだった右四つからの攻め

大相撲夏場所　１０日目 （ 2017年5月23日    両国国技館 ）

立ち合い高安を張って右に回る白鵬（右）
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　横綱はさすがに同じ轍（てつ）を踏まない。前回、高安と対戦した初場所の白鵬は、まともに当たって一方的に押し込まれ敗れた。その反省からこの日は右で張って、相手の出足を止めてから右に変化気味に動いて回り込み、得意の右四つになった。

　そこからの攻めが巧みだった。脇を締めて左上手を取り、高安の右下手を殺しながら前に出た。高安は投げを打ったが、腰高でまわしが切れてしまった。横綱のプライドと勝利への執念を感じさせた一番。何より、頭を付けて取ったところに、この取組をいかに横綱が重要視していたかが表れていた。これで一つヤマを越えたが、ここからみんな疲れが出てくるところ。今場所は日馬富士も元気。まだまだ何が起きるか分からないから、一日一番に集中していく必要があるだろう。

　一方の高安は横綱が一枚上手だったと思って気持ちを切り替えていけばいい。残り５日、当たって前に出る自分の相撲を貫いていくことが大事だ。（元大関・栃東）