上地 正々堂々2冠王手 ルール抵触の可能性 新サーブ封印でも快勝

[ 2017年1月27日 05:30 ]

全豪オープン第11日 ( 2017年1月26日    オーストラリア・メルボルン )

全豪オープン車いすの部女子で単複決勝に進出した上地(AP)
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 車いす女子シングルス準決勝で、世界ランキング2位の上地結衣(22=エイベックス)が、同8位のルーシー・シュカー(36=英国)を6―3、6―2で下し、大会初制覇に王手をかけた。28日の決勝では世界1位のイエスカ・グリフィユン(31=オランダ)に挑む。同女子ダブルスでも27日の決勝に駒を進め2冠も視野に入れた。

 格下に快勝した上地が少し言いづらそうに明かした。「新しいサーブは今日はやってないです」。順当に決勝に進んだとはいえ、昨季後半に取り組んだ新サーブは出さずじまいだった。

 止まり、トスを上げ、サーブを打つ。テニスでは当たり前の動作ではあるが、上地の新サーブはもっと型破りだ。止まり、こいで、トスを上げて、打つ。バレーボールのジャンピングサーブのように、勢いをつけて打つ“ランニングサーブ”。球速が上がり、サーブ後のコートカバーの範囲も広がる。銅メダルを獲得したリオ後に練習を始め、実戦で使えるまでになった。

 ところが昨年12月の大会で主審からルール違反との物言いがついた。国際テニス連盟(ITF)のルールで「サーブの動作を開始する前に静止すること。ボールを打つまでに車輪を一度は押しても良い」とされている。こぐ動作までサーブの一連の動きと考えれば、上地の新サーブも問題はない。

 ITF内でも議論され、意見が割れているという。現在は明文化されていない状態だけに使っても構わないとも言えるが、英国の関係者から「自分たちが不利になることはしない方がいい」と忠告を受け、「ひとまず封印した」という。

 それでも、前週の前哨戦を優勝するなど安定した強さは変わらない。準決勝では開始直後のゲームから4度のジュースの末に相手のサービスゲームを破り、第2セットも先にブレークして抜け出した。「4年後の東京に向けてはもちろんだけど、世界1位にもう一回なりたい」。新サーブへの取り組みも勝利を追求する姿勢があるからこそ。世界1位のグリフィユンとの決勝は、目標達成に近づく大事な一戦になる。

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2017年1月27日のニュース