48キロ級・三宅 腰痛悪化で「厳しい状況」6日に本番控え

[ 2016年8月4日 05:30 ]

練習場で調整する三宅宏実

 背水の陣で夢舞台に挑む。重量挙げ女子48キロ級の12年ロンドン五輪銀メダリスト・三宅宏実(30=いちご)らが2日、練習会場でのトレーニングを公開。春先から抱える腰痛がリオ入り後に悪化し、痛み止めの注射を打って6日の本番を迎えることになった。ベストコンディションには程遠い状況だが、自分を信じて4度目の五輪で完全燃焼する。

 表情に悲壮感はなくても、言葉は正直だった。春先から痛めていた腰の状態について、三宅は「日に日に痛くなっている。実際、厳しい状況です」と明かした。試合が近づくにつれ練習の強度を上げたことで、患部に負荷がかかっていた。「練習後に痛み止めの注射を打つ。痛み止めを打って試合に出たことはない」と父で日本代表の三宅義行監督(70)は説明。開会式翌日の6日の本番へ、崖っぷちの状況だ。

 前日(1日)の練習でも目標の重量を挙げられなかった。三宅は「心が折れかけた」と正直な胸の内を吐露。義行監督によると痛みは腰だけではなく、ふくらはぎにまで広がっている。「本番では一発に懸けようかなと思う」という娘の覚悟を、父は「最後の1本、ジャークの3回目で勝負するという意味だと思う。それまではセーフティーにいって、最後の1本に(力を)残しておきたい」と補足した。

 指揮官の予想では、三宅が持つトータル197キロの日本記録を超える200キロをマークすれば金メダルは確実、190キロに乗せればメダル争いは可能。苦境の中、光明は足の動きだ。「(銅メダルの)昨年の世界選手権よりも、足は動いている。技術も問題ない」と言う義行監督は「痛みさえなくなれば、今持っている力で勝負できる」と分析した。

 04年アテネ、08年北京、12年ロンドン。過去3度の五輪は、「誰かのためにって思いがあった」と三宅は振り返る。不安を抱えたまま迎えるリオは、初めて自分のために闘う。「ここまできたら、思い切ってやりたい。やりますから。大丈夫です。何が起こるか分からないのが五輪なので」。予測不可能な夢舞台。痛みが消える奇跡を願い、三宅は勝負の時を待つ。

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2016年8月4日のニュース