白鵬ダメ押しに横審ダメ出し 3度目愚行を守屋委員長が問題視

[ 2016年5月13日 05:30 ]

魁聖(左)を寄り切りで破った白鵬

大相撲夏場所 5日目

(5月12日 両国国技館)
 横綱・白鵬が小結・魁聖を寄り切り5連勝とした。しかし、勝負が決まってからもそのまま攻めを続けて最後にダメ押し。審判長に大ケガを負わせた先場所も含めて白鵬のダメ押しは常習となっており、横綱審議委員会の守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)も苦言を呈した。横綱・鶴竜は新関脇の勢に敗れて初黒星。序盤を終えて勝ちっ放しは白鵬、稀勢の里、豪栄道の3人となり、平幕の遠藤らを含めた8人が1敗で追う展開になった。

 もはや白鵬の体にはダメ押しが染みついてしまっているのだろうか。右四つの体勢で繰り出した出し投げで魁聖のバランスを崩すと前まわしを握って一気に寄り切って勝負あり。だが、相手の両足が完全に土俵を割ってからも横綱の攻めは止まらない。そのまま寄りながら最後に右手で“ドンッ”と余計な一押しを加えて196キロの巨漢が土俵下まで転落した。

 白鵬は取組後の支度部屋で「押しても離れても相撲が取れています」と初日から5連勝に納得の表情を浮かべた。しかし、一番前のたまり席に座る年配客2人が恐怖で体をのけぞらせ、土俵下にいた呼び出しも慌てて力水のおけを持って後退。幸いなことに魁聖が転倒しなかったため接触はなかったが、一歩間違えればケガ人が出てもおかしくない状況だった。

 ダメ押し気味の一番を加えると2日目の宝富士戦、前日の正代戦に続き早くも3度目の愚行。先場所も中日の嘉風戦でダメ押しを行って当時の井筒審判部副部長(元関脇・逆鉾)に左脚骨折の大ケガを負わせて審判部から注意を受けたばかりだった。その際は「申し訳ないです」と反省していたはずだったが、土俵上で熱くなると自分自身をいさめることはできないようだ。

 この日観戦した横審の守屋委員長は「ダメ押し気味だった。勝負だから流れはあるが、土俵下で観戦するお客さんにケガをさせてしまう」と問題視。先場所の反省が生きていないことには「横綱になって10年目になる。そのくらい横綱という地位で(周りが)奉ってしまうと、自分のやっていることが間違いではないと考えてしまうのが人間の常」と話した。協会幹部や審判部は現在のところ白鵬を呼び出して注意する意向はないが、このままではいずれ“ファンが負傷”という悲劇を生んでしまう可能性は十分にある。

続きを表示

2016年5月13日のニュース