五郎丸「世界最高レベル」体感 スーパーラグビー5得点デビュー

[ 2016年2月28日 05:30 ]

5得点デビューだ!後半4分、PGを蹴る五郎丸

スーパーラグビー第1節 レッズ10―30ワタラス

(2月27日 シドニー)
 レッズ(オーストラリア)に期限付き移籍したFB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)は前半26分から途中出場でスーパーラグビー(SR)デビューを果たし、1ゴール1PGで5得点を記録した。試合は10―30でワラタス(オーストラリア)に完敗したものの、アタックやディフェンスでも安定感のあるプレーを発揮。先発したFBカーマイケル・ハントをCTBに再コンバートし、五郎丸がFBで先発する「併用プラン」をチーム首脳に大きくアピールした。

 20代最後の試合で、新しいチャレンジへの一歩を刻んだ。佐賀工高時代から15番が当たり前だった五郎丸が23番をつけ、ベンチでキックオフの笛を聞いた。勝負は後半――そう思っていた前半26分。CTBタエフが足首を負傷し、早々と交代を告げられピッチに飛び出した。相手のワラタスはオーストラリア代表ぞろいのスター軍団。会場は03年W杯オーストラリア大会の会場のアリアンツスタジアム。全てが新鮮。30代目前のルーキーの表情は輝いていた。

 「1分でも早く試合に出たかった。長くプレーできたのでうれしい。試合ではいいところも悪いところもあった。日本の国内リーグと比べると、パワーなどが世界最高レベルだと感じた」

 0―20と一方的に攻められた前半はプレースキックの機会はなかったが、後半4分に真正面35メートルの位置でペナルティーを得ると、ゲーム主将シモンズは迷わずPGを選択。ボールを手渡された五郎丸は、真正面の大型ビジョンに映し出された自身の姿をいちべつもせずルーティンに集中。蹴り出したボールはきれいな放物線を描き、記念すべきSR初得点を刻んだ。

 同9分の正面41メートルのPGは外したが、同19分にはチーム初トライ後のコンバージョンをルーティンなしで決めた。プレシーズン2試合でキッカーを務めたSOマッキンタイアーがフィールドにいながら全てのキック機会を任されたのは、チームが寄せる期待の表れ。「任せられたら100%決めないといけない。次への課題」と反省したが右足の存在感が「今季はハントをフルバックで起用する」と明言したリチャード・グレアム監督に再考を促しつつある。

 3月1日に30歳の誕生日を迎える。ベテランの域に差し掛かった年齢で新たな挑戦に踏み出した理由は「失敗をするため」だ。国内や日本代表では他の選手と争うことなく15番をつけられる環境をあえて飛び出し、純粋に実力でジャージーを勝ち取りに行く。がむしゃらに練習して「非常に成長した」早大1年以来という真っさらな環境に追い込み、人間として成長する。23番で刻んだ第一歩は、屈辱ではなく未来へのステップだ。

 次戦は3月5日のホーム開幕のウェスタンフォース戦。「(先発するには)一生懸命練習するのみだ」とハッパを掛けた指揮官の言葉に、五郎丸も「次の試合に向けて調整し、ベストのパフォーマンスを出したい」。高みがあるほど成長できる。ラグビー人生第二幕が開けた。

 ▽スーパーラグビー ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの南半球3カ国の16チームに加え、今年から日本、アルゼンチンからも1チームが参加し18チームで争われるラグビーの国際リーグ。96年に12チームで発足し、06年に14チーム、11年に15チームと規模を拡大した。シーズンは毎年2~7、8月で、レギュラーシーズン後にプレーオフで優勝を争う。日本代表のリーチ主将(東芝)はチーフス(ニュージーランド)、SH田中(パナソニック)はハイランダーズ(同)など、海外チームにも日本選手が在籍。

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