高安 パッキャオになる!6連勝でストレート給金見えた

[ 2016年1月16日 05:30 ]

阿夢露を押し出しで下す高安

大相撲初場所6日目

(1月15日 東京・両国国技館)
 平幕の高安が阿夢露を押し出しで倒し、平幕では唯一の初日から6連勝を飾った。昨年秋場所に左足を負傷して初の休場を経験する挫折を味わって心も成長。母の故郷フィリピンの英雄であるボクシング元世界6階級王者・マニー・パッキャオ(37)を尊敬する25歳が大暴れの予感を漂わせている。全勝は白鵬、琴奨菊、高安の3人で変わらなかった。

 館内の土俵に上がる高安の現在の心境は冷静と情熱の中間にある。「気持ちを出しつつ、どこか落ち着いている」。阿夢露を相手に踏み込んで左を差して右上手を握り、危なげなく押し出して圧倒。以前は「なぜか気が抜けている日があった」が、今場所は「初日から全部同じで気持ち」。その言葉通りの平常心で平幕唯一の全勝を守り「逆にいい緊張感で気が引き締まっている。もう一番取れるぐらい」と全く重圧は感じていない。

 昨年秋場所3日目の逸ノ城戦で負傷し「左下腿筋挫傷、左足関節靱帯(じんたい)損傷」で4日目から人生初の休場。「取組をテレビで見るのはつらかった。目立った力士がいると悔しい気持ちだった」。特に気迫の内容で連日館内を沸かせた嘉風に対し「こういう相撲で活躍したかった」と嫉妬を覚えた。そう思うと自然と体は動き、休場した翌々日朝から稽古場に。到底まともに歩けなかったが「この経験を糧にする」と復帰に向けてダンベルを持って汗を流していた。

 日本人の父とフィリピン人の母を持つ高安。その秋場所で休場さえしていなければ、来日中だったボクシング界のスター、マニー・パッキャオとともにフィリピン大使館に招かれるはずだった。大使館には母ビビリタさんが代わりに出向き、パッキャオから「頑張ってほしい」と伝えられた。2年前に母の故郷で初対面して以来「拳一つで駆け上がって何十億も稼いでいる。僕も血が入っているから向こうの人から英雄と言われるように頑張らないと」と尊敬。ケガで再会ができなかった悔しさは今でも残る。

 この日休場した同世代大関の照ノ富士に追いつくためにも「上位に当たるまで連勝したい。それから乗ってくると思う」と活躍を誓う。前頭8枚目に甘んじる今場所で嵐を起こし、遅れた出世を取り戻す。

続きを表示

2016年1月16日のニュース