錦織 ナダルにストレート負けも接戦!見えた王者の背中

[ 2014年1月21日 05:30 ]

男子シングルス4回戦 ポイントを失い顔をしかめる錦織圭

全豪オープンテニス第8日

(1月20日 オーストラリア・メルボルンパーク)
 男子シングルス4回戦で、第16シードの錦織圭(24=日清食品)は第1シードのラファエル・ナダル(27=スペイン)に6―7、5―7、6―7で敗れ、12年の同大会以来4大大会自身2度目のベスト8入りはならなかった。ストレート負けに終わったが、世界ランキング1位を苦しめる3時間17分の大善戦だった。次戦は国別対抗戦デ杯ワールドグループ1回戦カナダ戦(1月31日開幕、有明)に出場予定だ。

 敗れた錦織はナダルと握手を交わすと、うつむきながら足早にコートを引き揚げた。「ここまできたら、いくらいいプレーをしても勝たないとどうしようもない。チャンスがあった分、余計にショックは大きいです」。競り合いながら1セットも取れず、錦織にとっては悔しさばかりが募る結果だった。だが、錦織の背中に注がれた1万5000人の温かい拍手が試合内容の充実ぶりを物語っていた。

 過去5戦5敗の王者を苦しめた。強烈なトップスピンに対して、前に出て跳ね上がったところを捉えて、互角以上に打ち合った。下がりめに位置取る相手に、ドロップショットも多用し、左右に加えて前後にも揺さぶった。ナダルは自らを鼓舞するように、好プレーの時にはガッツポーズを繰り返した。サーブの際に時間稼ぎをして、注意を受ける場面もあった。王者を本気にさせた。

 第1セットはいきなりタイブレークまでもつれた。第2セットは先にブレークに成功し、第9ゲームではナダルの読みの逆を突くボレーで転倒させて、右の靴ひもを切らせた。第3セットは1―4から4ゲーム連取した。しかし、勝負どころで強烈なサーブを放ち、プレーの精度を高めるナダルに対し、錦織は「焦りもあった」と積極的に攻めた結果ミスが出た。

 昨年は6月に自己最高の11位となったが、9月の全米オープンではまさかの1回戦敗退。12月に元世界2位のマイケル・チャン氏をコーチに迎え、新たなスタートを切った。基礎練習を繰り返し「部活動みたい」と周囲が驚く、厳しい指導のもとで肉体やフォアハンドの強化に励んできた成果は、この試合でもはっきり示された。「やろうとしたことは結構できた。今までの対戦で一番無理なく戦えた」。競り合うことさえ許されなかった過去とは明らかに違う。錦織は手応えをはっきり感じ取った。

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2014年1月21日のニュース