【大畑ザ・セレクト】競った展開でのクレバーさ光った金典弘

[ 2014年1月4日 05:30 ]

<東福岡・大阪朝鮮>攻め込む大阪朝鮮・金典弘

第93回全国高校ラグビー大会2回戦 報徳学園55―0黒沢尻北

(12月30日 花園ラグビー場)
 7人制ラグビーが公式競技として採用される16年リオデジャネイロ五輪、日本開催が決定している19年W杯で中核を担うべき選手が現在の高校生世代だ。テストマッチ通算69トライの世界記録を誇る大畑大介氏(38)が未来の日本代表候補をピックアップし、あふれる才能を紹介する。

 冷静なゲームメークが光りました。大阪朝鮮のSO金典弘選手。前半は裏のスペースをうまく使ったり、強みであるラインアウトからのモールで攻めるためにフォワードを使ったり。近場を攻めてフォワード一辺倒かと思いきや、今度はバックスを使う。後半17分の一時逆転となるトライは彼のクイックパスが決め手でした。

 サイズにも恵まれ能力もあれば、どうしても自分で前へ前へと行きたがるものですが、淡々とさばいていました。競った試合展開で見せたクレバーさは先天的な才能です。キックも長短織り交ぜて蹴られるし、立ち姿から分かるように体のバランスもいい。無理して体を大きくしていないところが逆に期待感を抱かせます。

 1点を追う試合終了間際、東福岡の反則で自陣のゴール前からキックを蹴りました。が、タッチラインを割れず結果、追加点を許しました。ただこれはラインアウトを得意とするが故、より深く蹴ろうと欲が出たもので決してミスではありません。この経験もまた彼ののびしろになるはずです。 (神戸製鋼アンバサダー、追手門学院大学地域文化創造機構客員特別教授、元日本代表)

 ◆金典弘(キム・ジョノン)1995年5月20日、大阪市出身。小学校の時はサッカー、東大阪朝鮮中1年からラグビーを始める。高1から花園出場。国体メンバー。1メートル83、83キロ。

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2014年1月4日のニュース