「暴力」と捉えた代表選手ら 背景に柔道界の古い体質

[ 2013年1月30日 00:27 ]

 格闘技である柔道では、自らの限界に打ち勝つ闘争心が求められる。その過程で指導者は選手を鼓舞する一つの手段として顔をたたいたり、ふがいない試合だった場合はさらにエスカレートした“指導”をしたりする。告発に踏み切ったロンドン五輪代表選手らはそれを「暴力」と捉えた。

 そんな行為が選手の発奮につながれば美談とされるケースも多かったが、もはや「愛のむち」が正当化される時代ではない。女子トップ選手による異例の行動の背景には、旧態依然とした柔道界の体質があった。

 女子代表の園田隆二監督は技の研究に熱心で理論に定評はあるが、熱血漢ゆえに行き過ぎてしまうタイプの指導者だ。関係者によると、昨年の国際大会で選手を平手打ちしながら叱る園田監督に対し、欧米のコーチが制止する場面もあった。

 五輪のメダル獲得有望競技であっても、暴力を伴う指導はあってはならない。「私は絶対に手を出さず、問題があれば選手とともに考えるようにしている」と話す実業団チームの監督もいる。柔道界全体で古い体質を改め、意識を変える必要がある。

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2013年1月30日のニュース