柔道女子・園田監督が暴力、パワハラ!15選手が告発

[ 2013年1月30日 06:00 ]

暴力、パワハラを告発された柔道女子の園田隆二監督

 異例の告発だ。昨夏のロンドン五輪の柔道に出場した日本代表を含む国内女子トップ選手15人が、五輪に向けた強化合宿などで園田隆二代表監督(39)やコーチによる暴力やパワーハラスメントがあったと告発する文書を連名で昨年末に日本オリンピック委員会(JOC)に提出していたことが29日、分かった。高校の部活での体罰が問題化する中、今回の告発で国内トップレベルでも暴力が横行する実態が明らかになった。全日本柔道連盟は30日、園田監督を交えて今後の対応について協議する。

 国内トップレベルにも暴力が横行する現実が、白日の下にさらされた。ロンドン五輪にも出場した選手を含む15人の女子柔道家による、異例の告発。JOCに加盟する全日本柔道連盟(全柔連)が倫理委員会で園田監督らに聞き取り調査した結果、当事者は事実関係を大筋で認めているという。

 昨年12月、大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の男子生徒が、顧問の教員から体罰を受けた後に自殺した。スポーツ指導における体罰が社会問題化する中、五輪選手らが指導者を告発した。関係者によると、「女子日本代表チームにおける暴力及びパワハラについて」と題された文書は、練習での平手や竹刀での殴打や暴言、ケガをしている選手への試合出場の強要などを訴え、全柔連に指導体制の刷新を求めているという。

 格闘技である柔道では、自らの限界に打ち勝つ闘争心が求められる。その過程で指導者は選手を鼓舞する一つの手段として顔を叩いたり、ふがいない試合だった時はさらにエスカレートした“指導”をする場合がある。告発に踏み切ったロンドン五輪代表選手らは、それを「暴力」と捉えた。そんな行為が選手の発奮につながれば美談とされるケースが多かったのも事実だが、もはや「愛のむち」が正当化される時代ではなくなった。女子トップ選手による異例の行動の背景には、旧態依然とした柔道界の体質がある。

 JOC幹部はこの日、文書の提出があったことを認め、「アスリートファースト(選手第一)が基本。正確に事態を把握し、指導者への指導を徹底したい」と話した。ロンドン五輪の女子7階級で、日本は57キロ級の松本薫(25=フォーリーフジャパン)が優勝したものの金、銀、銅メダル各1個で北京五輪の成績を大きく下回った。16年リオデジャネイロ五輪での復活を目指していた矢先の出来事。今後、園田監督やコーチの交代に発展する可能性もある。柔道界に大きな衝撃が走った。

 ◆園田 隆二(そのだ・りゅうじ)1973年(昭48)9月16日、福岡県大牟田市生まれの39歳。現役時代は主に60キロ級で活躍。小学1年で柔道を始め、柳川高では高校総体で優勝し、明大に進学。92年に世界ジュニア60キロ級で優勝。93年世界選手権(カナダ・ハミルトン)では20歳で世界王者となった。大学卒業後は警視庁に所属。96年アトランタ五輪出場を目指したが、国内選考会2試合で2位に終わり、五輪出場はならなかった。引退後は全日本柔道連盟の女子強化コーチを経て、08年11月に全日本女子の監督に就任。妻はアテネ五輪女子78キロ級金メダルの阿武教子。

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