田中理恵、初女王!24歳やっとビッグタイトルで五輪前進

[ 2012年4月9日 06:00 ]

「ピンクパンサー」の曲に乗り、床運動で華麗な演技を見せる田中

体操全日本選手権最終日

(4月8日 国立代々木競技場)
 ロンドン五輪代表選考会を兼ねて行われ、女子個人総合で田中理恵(24=日体大研究員)が56・450点で初優勝し、体操人生で初めて主要タイトルを獲得。最終選考の場となる5月のNHK杯(国立代々木競技場)では、兄・和仁(26=徳洲会)、弟・佑典(22=コナミ)との、田中3きょうだいでの代表入りを目指す。

 熱い吐息を漏らしながら、表情に柔らかな笑みが浮かんだ。最終種目の床運動。フィニッシュのポーズをきっちり決めた田中が、初の全日本女王に輝いた。「こういう大きな試合で初めて優勝できて、凄くうれしい。大きなミスなく、楽しく、自分らしく演技できた」。体操人生初の主要タイトルで、目指す夢舞台へ大きく前進だ。

 安定感で頂点への道を切り開いた。1種目目の跳馬で全体4位の14・050点をマークすると、高難度の移動技を決めた段違い平行棒は1位の14・150点。平均台も2位の14・200点を叩き出すと、3種目終了時点でトップに浮上。「跳馬から3種目、いい緊張感で臨めた」と振り返った。

 最終種目の床運動は新曲の「ピンクパンサー」を使用。昨季までの「エリーゼのために」からガラッと曲調を変えた。「最初に見た時からピンクパンサーが合うと思っていた」と日体大で指導する瀬尾コーチは説明する。田中が同大に入学した06年から温めていたプログラムで、ジャッジにも観客にもアピール。「初めてっていうくらいの緊張感があった」と話したが、妖しくムーディーに舞って同種目も3位にまとめた。

 昨年末から修士論文の執筆、発表に時間を取られて満足な練習はできなかった。高校時代、父・章二さん(62)には「世界一練習しない体操選手だな」と言われていた田中だが、全日本に向けて限られた練習時間で集中力を発揮。寺本、笹田らの16歳コンビらが高難度の技で構成していくなか、24歳は技の精度で対抗。プログラムを変えた床運動以外の3種目は技の構成を変えず、完成度を高めてきた。

 タイトルは手に入れたが、満足感に浸るわけにはいかない。5月4、5日のNHK杯(国立代々木競技場)の得点を合算して決まる代表争い。まだ首位ターンしただけだ。「五輪が一番の目標なんで、これを通過点としてNHK杯、ロンドンでいい演技ができるように頑張ります」。ヒロインの視線は、夢の舞台をとらえている。

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