高橋ノーミス2位!優勝のチャンに観客からブーイング

[ 2012年4月1日 06:00 ]

演技終了後、胸をなでおろす高橋

フィギュアスケート世界選手権最終日

(3月31日 フランス・ニース)
 男子フリーが行われ、SP3位の高橋大輔(26=関大大学院)が173・94点をマーク。合計を259・66点とし、銀メダルを獲得した。17歳の羽生結弦(ゆづる、東北高)は251・06点で日本男子史上最年少の表彰台となる銅メダル。男子では日本勢で初めてダブルでメダルを獲得した。パトリック・チャン(21=カナダ)が266・11点で連覇を達成。小塚崇彦(23=トヨタ自動車)は218・63点で11位に終わった。

 日本のエースの底力を見せた。4分30秒の演技を終え、胸に手を当てた高橋に笑みが浮かぶ。フリーは今季自己ベストの173・94点で、健在をアピールする銀メダル。「ホッとしてます。明日は何も考えずにおいしいパンを食べたい」。メダルセレモニーでは、2つのミスがありながら優勝したチャンがブーイングを浴び、高橋には大きな歓声が降り注いだ。

 物憂げなブルースの調べに乗って、ジャッジもファンも魅了した。冒頭の4回転トーループを決めると、一気に波に乗った。後半の3回転フリップが回転不足になった以外は着実にジャンプに成功し、得意のステップでは最高評価のレベル4。表現力が評価される5項目の演技点は4項目で8点台の後半だ。「お客さんと一体になって、最高のパフォーマンスができた」と胸を張った。

 雪辱の舞台だった。10年トリノ大会を制し、王者として臨んだ昨年のモスクワ大会。フリーでスケート靴のビスが外れるアクシデントで5位に沈んだ。屈辱は未来への推進力に変わる。同大会後、すぐに14年ソチ五輪を目指すことを決意。進化するために変化を受け入れた。08年に右膝を手術した際に埋め込まれたボルトを昨年5月に除去し、スケート靴も替えた。

 体の感覚と新調した靴がフィットせず、滑り始めはジャンプのタイミングをつかめなかった。昨夏はフランスに渡りスケーティング技術を基礎から見直し、バレエのレッスンも受け始めた。「バレエは奥が深くて到底、理解するのは難しいけど、自分のスケートにも生きてきていると思う」。定評のある表現力にも磨きをかけ、大舞台のリンクに立っていた。

 2年ぶりの頂点には届かなかった。だが、2月の四大陸選手権で29・61点だったチャンとの差は6・45点にまで縮まった。「来季はフリーで4回転を2回入れたい。体の性能は上がっているし、あと2年進化できると思う」。14年ソチ五輪で黄金の輝きを手に入れるために、ライバルの背中は絶対に見失わない。

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