白鵬「何か違う感じ」もバースデー白星発進

[ 2012年3月12日 06:00 ]

<大相撲春場所初日>栃煌山を突き落としで破る白鵬

大相撲春場所初日

(3月11日 大阪府立体育会館)
 2年ぶりに春場所が開催され、横綱・白鵬は小結・栃煌山に攻め込まれて俵に左足がかかる劣勢から左突き落としで逆転勝ち。自身27回目の誕生日を飾った。横綱は被災地への思いをあらためて口にし、貴乃花に並ぶ22回目の優勝を誓った。大関陣では稀勢の里が敗れたが、綱獲りが懸かる把瑠都は新小結・臥牙丸を下して白星発進した。
【取組結果】

 横綱らしく勝ちたかった。しかし、それが気負いとなった。土俵際の逆転で27歳初勝利を手にした白鵬は不満そうに首を傾け、勝ち名乗りを受けるまで30秒ほど下唇を突き出したままだった。花道では大きく息をつき、支度部屋でも「何か違う感じはありましたね」と神妙な面持ちで振り返った。

 01年の初土俵から12年目の春。654勝目となるこの日の勝利は特別なものだった。26回目の誕生日だった1年前の3月11日。都内の自宅で大きな揺れに恐怖を感じた。この日の朝稽古後「いろんな意味で特別な日。きのうのことのように覚えている」と振り返るなど、生涯忘れられない日になった。国技の看板として何かできないか――。昨年6月に被災地に出向いて土俵入りを披露、また岩手・大槌中の相撲部員も初場所に招いた。それでも、横綱として最大の支援は土俵上の取組で横綱相撲を取ることと認識している。「本業は朝稽古をやって本場所でいい相撲を見せること」。大阪入り後は精力的に出稽古をこなし万全の状態に仕上げた。

 さすがの白鵬もプレッシャーを感じたのか、土俵では隙が生まれた。立ち合いが甘く、栃煌山にもろ差しを許し、一気に寄せられた。左足が俵にかかったところで踏ん張り、左からの突き落としで逆転。「勝負に勝って相撲に負けたという内容です。最後は余裕がなければ勝てません。悪い体勢でも残す、横綱相撲です」。薄氷の勝利には少しだけ強がってみせた。

 劣勢を挽回して貴乃花と並ぶ22回目の優勝へ白星発進。「引き締めていきますよ」。被災地への思いを胸に、最強の男が2年ぶりの春を盛り上げる。

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2012年3月12日のニュース