稀勢の里“天敵”琴奨菊下し1敗キープ!

[ 2012年1月18日 06:00 ]

<大相撲初場所10日目 琴奨菊・稀勢の里>突き落としで大関対決を制し1敗をキープした稀勢の里(左)

大相撲初場所10日目

(1月17日 両国国技館)
 新大関・稀勢の里が大関・琴奨菊を立ち合い一瞬の突き落としで破り、1敗をキープした。6連敗中だったライバルに対し、場所前から積極的に胸を合わせた成果を発揮。6年ぶりの日本人優勝に向け、11日目にはこの日、鶴竜に敗れた白鵬との大一番に挑む。全勝は大関・把瑠都1人となり、1敗が白鵬と稀勢の里。2敗は日馬富士ら4人となった。
【取組結果】

 同じ大関として初めて迎えた“菊稀対決”は稀勢の里の瞬時に下した判断で勝負が決まった。注目の立ち合い。稀勢の里は琴奨菊の体勢が低いことに気づいた。「内容的には良くないけど相手の足、頭の位置を一瞬で見られた」。左に動きつつ即座に繰り出した突き落としで相手がバッタリ。前に出る相撲を身上とするだけに、あっけない幕切れには不満を抱くが、苦手のライバルを破り「きっかけにしたい」と確かな手応えを口にした。

 これまでの対戦成績は11勝24敗。直近は6連敗中とあって場所前から“対琴奨菊”には並々ならぬ意識を注ぎ込んできた。親しい知人には「なんでライバルと言われるかが分からない」と強がっていたものの「同じ左四つは苦手」と、しっかりと研究しなければ勝てない相手であることを認識。年始の一門連合稽古でも積極果敢に申し合いを行い、11勝8敗で勝ち越した。「(琴奨菊と)あれだけ(稽古をたくさん)やったのは初めて。あの時の感覚と自分の勝負勘を信じた」。昨年11月に急死した先代師匠(元横綱・隆の里)の「先輩は後輩に胸を出す義務がある」という教えから出稽古をしない方針は変えていないが「(自分は)バカだから。考えないと」と場所前の2度の機会で癖を見抜き、この日の勝利に結びつけた。

 天敵を下して1敗を守り、06年初場所の栃東以来の日本人優勝へ望みをつないだ。優勝争いについては「意識はない」と無関心を装ったが、きょう11日目の横綱との直接対決を制すれば、初優勝の可能性も浮上する。日本人の期待を背負ってのラストスパート。「思い切っていくだけ」短い言葉に不退転の決意が込められている。

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2012年1月18日のニュース