白鵬“育ての親”宮城野親方に「賜杯を…」

[ 2011年1月9日 06:00 ]

優勝額の前で引き締まった表情を見せる白鵬

 大相撲の初場所は9日、東京・両国国技館で初日を迎える。大鵬(元横綱)に並ぶ史上2位タイの6連覇を目指す横綱・白鵬(25=宮城野部屋)は小結・鶴竜(25=井筒部屋)と対戦。この日は本場所の安泰を祈願する土俵祭りと東京場所前日恒例の優勝額贈呈式に参加し、昨年末に師匠に復帰した宮城野親方(元幕内・竹葉山)に天皇賜杯をささげることを誓った。

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 土俵祭りと優勝贈呈式に出席した白鵬は、今場所に懸ける思いを熱く語った。「6連覇に並んだら、(場所後に)大鵬関のところに直々に報告に行きたい。そして育ての親(宮城野親方)に師匠として賜杯を抱かせてあげたい」

 06年夏場所に初優勝し、これまで17回の優勝を重ねてきた。しかし、その全てが04年8月に3代前の師匠(元小結・広川)の次女と結婚し、部屋を継承した前宮城野親方(元十両・金親=現熊ケ谷親方)の師匠時代のもの。現師匠は、白鵬が15歳で力士を目指して来日した際、体重が軽くてどこの部屋からも誘われず、モンゴルに戻るしかないと失意のどん底に突き落とされた時に、「うちに来い」と拾ってくれた恩人だった。大関時代に宮城野親方のテレビ解説での厳しいコメントをめぐって反発したこともあったが、心の中ではずっと“本当の師匠”に賜杯を抱いてほしいという思いを抱いていた。

 場所前の稽古では古傷の左肘痛を再発させてしまった。「左肘への意識?正直そういうものもある」。しかも、初場所は08年の1回だけしか優勝したことがない苦手な場所。不安要素はあるが、鶴竜戦の懸賞本数は初日史上最多の45本となるなどファンの期待は大きい。「勝ち負けにこだわらずやるだけ。盛り上がればいいね」。目指すは千秋楽に師匠が賜杯を抱いて笑顔を見せる姿。その素直な思いを胸に白鵬“翔”の飛躍の年は始まる。

 ≪63連勝記念品公開≫横綱審議委員会特別表彰で白鵬に贈呈される記念品が8日、報道陣に公開された。東京芸大学長で横審委員の宮田亮平氏が制作。台座に「土俵王」と書いたプレートがあり、その上に泳ぐ12頭のイルカで土俵を表し、中央に63の数字を据えた。縦80センチ、横70センチほどでジュラルミン、金、銀、プラチナを使用。同氏は「横綱には心技体が一体となった美しい土俵を務めてもらいたい。それが勝ちにつながる」と話した。初日の土俵上で白鵬に贈呈される。

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