美里“雪辱”金 北京で敗れたアンに判定勝ち

[ 2010年11月16日 06:00 ]

女子52キロ級で優勝し、表彰式で君が代を聞く中村美里

 広州アジア大会第4日、柔道女子52キロ級で中村美里(21=三井住友海上)が金メダルを獲得した。準決勝では08年北京五輪で敗れたアン・グムエ(30=北朝鮮)を、旗判定の末に撃破。今年の世界選手権は銀メダルに終わったが、因縁の相手を倒したことで12年ロンドン五輪に向け大きな手応えを得た。

 表彰台の真ん中で金メダルをかけた時だけ、21歳の表情がわずかに緩んだ。昨年の世界女王・中村が、アジアを制圧。「アジア大会に限らず、金メダルを獲れたことは良かった」。因縁の相手を倒してたどりついた頂点に、何よりも意味があった。
 08年北京五輪準決勝で敗れたアン・グムエと、準決勝で再戦。3分すぎに技ありを先に取られたが、約30秒後に小内刈りで追いついた。「(相手の技は)一本でもおかしくなかった。(私の技は)有効しかないかなと思ったので運も味方した」。旗判定にもつれ込む死闘を制した要因は、運だけではない。2年前はパワーに屈したが、この日は力で対抗。「つぶれずにさばけた。成長できたかな」と手応えを口にした。
 前日、所属先の先輩である上野がアン・グムエと同じ北朝鮮選手との試合で、組み手争いの最中に殴られたような形になった。腫れ上がった左目を見て「凄く腫れてて心配だった」と気遣いつつ「そういうこともあるので気をつけた」と細心の注意を払って因縁の相手との一戦に臨んでいた。
 昨年は世界一に輝いたが、今年の世界選手権では西田に連勝を「34」で止められて銀メダル。同選手権以来となる大会で北京のリベンジを果たし、大目標へ再スタートを切った。「ロンドン五輪に出たい気持ちは凄くある。そこでしっかり頑張りたい」。最高峰の舞台で頂点に立つまで、心からの笑顔は封印していく。

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2010年11月16日のニュース