佳菜子、逆転初V「真央ちゃんに近づけたかな」

[ 2010年11月16日 06:00 ]

フィギュアスケートでGP初優勝を果たし、笑顔で写真に納まる村上佳菜子

 真央に並んだ!フィギュアスケートのGPシリーズ第4戦、スケートアメリカ最終日は14日、米オレゴン州ポートランドで行われ、女子フリーで村上佳菜子(16=中京大中京高)が、自己最高の110・18点で2位となり、ショートプログラム(SP)の2位から逆転してGP初優勝を飾った。第1戦のNHK杯で3位に入った村上は、浅田真央(21=中京大)に並ぶシニアGP2戦目での最速優勝でGPファイナル(12月9日開幕、北京)出場権も獲得。SP1位のカロリナ・コストナー(23=イタリア)のミスにも助けられたが、期待の星が早くもタイトルを手にした。

 リンクから控室に戻る途中、村上は潤んだ目元を左手でぬぐった。「まさか110点が出るとは思わなかった。優勝も、本当かどうか分からなかった」。シニアGPデビュー2戦目で最速優勝。子供のころから同じリンクで練習し、あこがれた浅田に並び「真央ちゃんに少しは近づけたかな」と16歳の笑顔を見せた。
 初優勝は運もあった。苦手の3回転ルッツでエッジのミスをし、3回転フリップは1回転になった。3回転ループも着氷で手をついた。だが、それを補う表現力が村上の武器だ。演技点だけならコストナーに次ぐ2位。そのコストナーがジャンプでミスを連発し、優勝が転がり込んできた。
 フリーの110・18点と合計の164・93点はともに自己最高。山田満知子コーチは「佳菜子も他の選手もパーフェクトではなかった。有頂天では喜べない」と話したが「それでも優勝できたことを自信につなげてほしい」と評価する。まだ、16歳。運があったにしても、優勝すること自体に大きな意味があった。
 昨季のジュニア世界選手権を制し、今季からシニアデビューした。「白鳥の湖」のゆったりした演技でジュニア女王となったが、シニア転向を前に夏の合宿でメリハリのある「マスク・オブ・ゾロ」をとことん滑り込む村上の姿があった。
 複雑で細かいエッジワークを駆使したストレートラインステップ。正確なスケーティング。音楽との調和にもとことんこだわった。関係者が「16歳でなぜ、こんな難しいプログラムを」と絶句するほどの演技に挑戦することが、シニアに臨む村上の心構えだった。
 女子では今季のGPファイナル出場権を最初に手にした。「優勝はうれしいけど課題はいっぱい。でも、自信はついたと思う。次に優勝するときは、他の選手がパーフェクトな演技をした中でしたい」。毎試合、緊張で泣きそうになるが「きょうは動ける緊張だった」とはにかめただけでも、16歳には成長だった。

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2010年11月16日のニュース