超異例!名古屋場所開催でもチケット払い戻し

[ 2010年7月2日 06:00 ]

 大相撲の名古屋場所担当部長の二所ノ関理事(元関脇・金剛)は1日、名古屋場所(11日初日、愛知県体育館)の入場券が払い戻しができるよう、4日の臨時理事会で検討することを明らかにした。野球賭博問題で「解雇以上」の懲戒処分が決まった地元出身の大関・琴光喜らの欠場もあり、相撲協会には払い戻しを求める抗議電話が殺到。相撲協会は超異例の措置を迫られることとなった。

 世間の厳しい声を受け、相撲協会は異例の対応をせざるを得ない状況へと追い込まれた。名古屋場所開催を10日後に控えたこの日、担当部長の二所ノ関理事は「払い戻しをしないのかという電話がかかってきている。現状ではできないけど、今の情勢を考えると議題に上げて、何らかの結論を出さないと…」と吐露。4日に行われる臨時理事会で入場券払い戻しを提案することを示唆した。
 入場券は原則的に払い戻し禁止で、入場券の裏面にもその旨が記載されている。相撲協会によると、89年1月7日に昭和天皇が崩御された際に、初日(1月8日)が1日延期され、月曜日開催となった千秋楽(23日)に振り替えられた初日の入場券のみ、希望者の払い戻しに応じたケースがある。しかし、場所が予定通りの日程で開催される状況での払い戻し受け付けとなれば、極めて異例の措置だ。
 特別調査委員会の要求をのんで名古屋場所開催にこぎつけたものの、課題は山積している。愛知県岡崎市出身の大関・琴光喜が角界を追放されるばかりか、幕内の豊ノ島、雅山、豪栄道ら日本人の人気力士も謹慎処分により休場が決定的。ファンの関心は一気に薄れた。6月上旬から「払い戻しをしたい」との問い合わせや、抗議の声が先発事務所や相撲案内場に殺到。5月20日に販売を開始した入場券は1日現在で昨年より1割減となる約60%の売れ行きで、売上総額は約6億円だという。今後、払い戻し要求が続出するような事態となれば、収支面での大打撃は避けられない。
 名古屋場所は年6回開催される本場所の中で唯一、共催という興行形態を採っている。相撲協会はパートナーの中日新聞社に興行権を売る代わりに一定の利益を得るシステムだが、収益が協会に支払われる最低補償額に届かない場合は両者で話し合うと定款に定められている。大幅減収となった場合について、協会関係者は「双方で折半することになる」と予測した。
 ある協会関係者は「今場所は空席が目立つことを覚悟している」と明かしたが、升席の大半が埋まらない状況が連日続くとなれば、さらなるイメージダウンはもちろん、ガラガラの館内では力士のモチベーションも低下する。いずれにしても史上最低の場所となることだけは避けられそうもない。

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2010年7月2日のニュース