朝青龍“フライング”で貴乃花審判長に苦言

[ 2008年9月21日 06:00 ]

NHKに抗議が殺到した朝青龍の立ち合い

 朝青龍がまたもやフライング立ち合いで、休場危機を脱出した。大相撲秋場所7日目(20日・両国国技館)、前日2敗目を喫し絶体絶命のピンチに立たされたが、激しい左のど輪で難敵・栃乃洋を退けた。だが、立ち合いは4日目の稀勢の里戦同様、左の手つきが不十分。貴乃花審判長(元横綱)は正常との判断を下したが、武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)が苦言。取組後、相撲協会に寄せられた抗議電話は70件にも及んだ。全勝の豪栄道が敗れたため、1敗に白鵬ら4人が並んだ。

【取組結果


 栃乃洋を下して仁王立ちした朝青龍が突然、左手を打ち下ろした。その動作は、数秒前の立ち合いの“感覚”を再確認しているかのようだった。故意か無意識かは定かではないが、崖っ縁横綱は、この日もフライングという“カード”を切った。

 因縁の栃乃洋戦。激しいのど輪攻めで一蹴し名古屋場所の雪辱を果たしたが、立ち合いは明らかにフライングだった。右手をつくと同時に左手も軽くふりかざしたが、地面と左手には10センチほどの空間があった。支度部屋の朝青龍は「足がついていったし、立ち合いに集中していた。いい相撲だった」と自画自賛。気迫の相撲で2場所連続途中休場の危機を脱したが、今場所2度目のフライングに取組後には相撲協会に抗議電話が殺到。約70件の電話の中には貴乃花審判長(元横綱)への苦情も含まれていたという。

 朝青龍は4日目の稀勢の里戦もフライング立ち合いで連敗を免れているが、審判長はこの日と同じ貴乃花親方だった。その貴乃花親方は朝青龍の手つきについては「問題ないです」と断言。続けて「(見解が)統一しているも何も、統一しています。話題が先行していますからお手柔らかに」と言って苦笑いを浮かべた。だが、武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は「彼(貴乃花親方)はついたと見たかもしれないが、ばらつきがあってはいけない。素人が座ってるわけじゃないし、黙って座ってるだけなら何もならない」と苦言を呈した。

 今場所から徹底されている両手をつく立ち合いには行司、審判の判断基準に差があるのも事実。結果的にその混乱が、悩める横綱をアシストしているのも皮肉な話だ。

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2008年9月21日のニュース