【騒動解説】 対応まずかった相撲協会

[ 2008年9月3日 21:15 ]

 不祥事が起きるたびに対応が後手に回った相撲協会だったが、今回は問題発生時から動きのまずさを露呈した。

 2日の抜き打ち尿検査を実施した大西祥平・日本アンチ・ドーピング機構専門委員は3日、大麻に陽性反応を示した露鵬について「疑陽性」という言葉を初めて口にした。陽性に近い状態という意味だ。2日夜の記者会見では言及せず、さらに露鵬が腰痛の鎮痛薬を服用していたことも公表しなかった。
 これにより、精密検査の前に露鵬、白露山を完全に「クロ」と断定するムードがつくられた。関係者によれば、白露山の師匠でもある北の湖理事長(元横綱)は非常に強い不快感を示したという。大西委員は「わたしの真意が伝わらず、大変な迷惑を掛けた」と話した。
 そして注目の民間機関による精密検査も、2人の検体提出は予定されていた3日朝はおろか、協会側と検査機関の手続き上の都合で4日以降にずれ込んでしまった。
 尿検査自体は画期的だったと言える。しかしこの日も大西委員だけに会見を任せ、進退問題も浮上している理事長ら執行部の親方衆は、夕刻にあっさりと国技館を後にした。真相はまだ明らかではないが、角界を揺るがす事態の中での危機感のなさは、昨年から全く変わっていない。

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2008年9月3日のニュース