監督も勘弁してくれ~!石井ワールドさく裂

[ 2008年9月3日 06:00 ]

北京五輪での結果報告に訪れ、国士舘大の若林克彦学長(右)と握手する柔道男子100キロ超級を制した石井

 北京五輪の柔道男子100キロ超級で金メダルを獲得した石井慧(21)が2日、在学中の国士舘大世田谷キャンパスを訪問し若林克彦学長(66)らに優勝報告を行った。席上では前日の福田康夫首相の辞任を“予想通り”とするなど、奔放な発言を全開。ベストジーニスト賞を受賞したフェンシング男子フルーレ銀メダルの太田雄貴(22)との異種格闘技戦をブチあげるなど“石井ワールド”をさく裂させた。

 両手を交差させた“DAIGOポーズ”で学長室に入る前から、石井は「絶好調で有頂天」だったという。柔道関係者がその奔放な発言を恐れ、テレビ生出演を抑えてきたが、そのブレーキ役でもある国士舘大の先輩で全日本柔道男子の斉藤仁監督が不在だったことがすべての誤算だった。大学関係者から福田首相の辞任について話を向けられると、一気に言葉を連ねた。「僕は握手しただけで相手のことがすべて分かる。(福田首相は)薄々こういうふうになるんじゃないかなと思っていた。以心伝心という言葉がありますが、ちょっと待てと念を送ったんですがダメでした」

 8月26日にメダリストとして首相官邸を訪問した際、握手を交わした石井は「腹黒くないから政治家に向いてなかったんじゃないかと。うそつきは政治家の始まりと言いますから。一緒にハッスルポーズをやってくれた福田首相は歴代首相の中でも一番好きです」と同情?した。さらに次期首相について「森(喜朗)首相はいろいろ話題を振りまいたんですが、良きにつけあしきにつけ世間を騒がせて目立たないと」と持論を展開した。

 首相だけではない。目の前にいた学長も“標的”だ。「(関東学生)2部のラグビー部が人工芝のグラウンドを持っているのに、優勝している柔道部にもプライドがある」として、道場への冷暖房導入を直訴。すでにその方向で動き始めたことを聞かされ満足そうな表情を見せたが、最後に学長と握手をした感想を聞かれ「テレビの前で震えていた。それじゃ先が思いやられるぞと」と不敵に笑ってみせた。

 さらに前日、ベストジーニスト賞に輝いたフェンシングの太田に「悔しいです」としっと。ジーンズ7本を所持する愛好家であることを明らかにした上で「オスとして戦ってみたい。フェンシングと柔道、どっちが強いか。相手は(剣を)持っていて構わない」と話し、周囲を爆笑の渦に巻き込んだ。

 隣に座った国士舘大柔道部の山内直人監督は「勘弁してくれ~」と何度も汗をぬぐったが、前日から道場での稽古を再開したという21歳は手加減なし。「金メダルのレプリカをつくって、多摩川に捨てて、あくまでチャレンジャーとしてこれからも戦いたい」と独演会を気持ちよさそうに締めくくった。

 ≪過酷連戦も「僕はもののふ」≫今後の試合出場について石井は「(10月の)国別団体戦、(11月の)大学の体重別団体、(12月の)嘉納杯、無差別の世界選手権と、無心で戦いたい」と超ハードスケジュールの連戦を約束。「僕はもののふなので死に場所を与えてもらえるだけで幸せ」と胸を張ってみせた。しかし、注目される就職先については「自給自足で…」などとはぐらかし、いまだに決めかねる複雑な思いを隠さなかった。

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2008年9月3日のニュース