北の湖理事長ピンチ!所属の白露山から薬物

[ 2008年9月3日 06:00 ]

長時間にわたる検査を終え、国技館を出る露鵬(左)と白露山

 日本相撲協会は2日、東京・両国国技館で関取69人を対象に抜き打ちの尿検査を実施し、ロシア出身の西前頭3枚目、露鵬(28=大嶽部屋)と、露鵬の弟で東十両6枚目の白露山(26=北の湖部屋)から、マリフアナに対する陽性反応が出たと発表した。警視庁は同日深夜、東京・江東区の北の湖部屋と大嶽部屋を家宅捜索した。2人と同じロシア出身で元幕内・若ノ鵬のガグロエフ・ソスラン・アレキサンドロヴィッチ容疑者(20)が8月18日に大麻取締法違反の疑いで逮捕された直後の不祥事だけに、北の湖理事長(元横綱)の責任問題を問う声が噴出するのは必至となった。

 抜き打ちの尿検査は力士会終了後の午後1時20分から国技館内の相撲教習所で行われた。内容はマリフアナなど3種目に関する簡易検査で、出席した関取69人を対象に実施。そのうち67人は陰性反応だったが、ロシア出身の露鵬と白露山の兄弟がマリフアナの陽性反応を示したという。2人が「身に覚えがない」と主張したため、同じ検体による検査を露鵬に3度、白露山に2度行ったが、結果は同じだった。

 8月に元幕内・若ノ鵬寿則容疑者が大麻取締法違反で逮捕された件を重く見た再発防止検討委員会(伊勢ノ海委員長)は同29日の会合で、力士会での抜き打ち検査を決定。北の湖理事長(元横綱)以外の協会関係者には知らせず、極秘裏のうちに準備を進めてきた。検査に立ち会った再発防止検討委員会の大西祥平氏(日本アンチ・ドーピング機構専門委員)によると「簡易検査で反応したということは2、3日以内に吸引していた可能性は否めない」という。それでも納得しない露鵬と白露山は「身の潔白を明らかにしたい」と再検査を要求したため、午後5時からより精密な検査を実施した。

 だが、露鵬が「用事があるから帰りたい」と語るなど、非協力的な姿勢を見せたため、委員会は師匠の大嶽親方(元関脇・貴闘力)を呼び出して説得。開始から6時間たった午後7時半に全検査を終了した。再検査では「尿に含まれるマリファナの濃度が分かるため、主流煙か副流煙の区別もつく」と大西氏は説明。結果は3日から48時間以内に出るため、4日にも判明する。

 再発防止検討委員会は簡易検査で陽性反応を示した段階で、警視庁に報告。再検査終了後、露鵬と白露山は両国国技館から警視庁に任意同行された。警視庁は、両力士を任意で深夜まで事情聴取。2人が大麻を所持していた疑いもあるとみて、大麻取締法違反容疑で同日深夜、白露山と露鵬の立ち会いのもと、それぞれ北の湖部屋と大嶽部屋を家宅捜索した。大麻取締法は使用について罰則を設けていないため、陽性反応が出たことでただちに刑事責任を問われることはない。警視庁組織犯罪対策5課は使用の経緯や入手先などを明らかにするために捜索したが、押収物はなかった。

 白露山は家宅捜索終了後、北の湖部屋の前で対応した白露山は「自分自身は絶対そういうことをしていません。2週間前の(警察の)DNA検査でも何にも出ていない。ボク絶対ないです。きょうの検査は間違いもあると思う」と身の潔白を強く訴えた。

 相撲協会は昨年来、朝青龍の仮病問題、時太山の暴行致死事件などで世間を騒がせてきたが、若ノ鵬事件から2週間余りでまたも降ってわいた不祥事に関係者も動揺は隠せない。唯一、北の湖理事長だけが「(弟子の)白露山は2週間前に事情聴取された時に何も言われなかったが(きょうの)検査でちょっと出たようだ。疑いがあるというなら、よく調べてもらえばいい」と淡々としたものだった。だが、再検査の結果次第では、相次ぐ不祥事の中でも職にとどまってきた北の湖理事長の進退が問われることになる。

 ◆露鵬(ろほう=本名ボラーゾフ・ソスラン・フェーリクソビッチ)西前頭3枚目、ロシア・北オセチア共和国ウラジカフカス出身、大嶽部屋。弟の十両・白露山とともに02年夏場所初土俵。04年初場所新十両。同年秋場所新入幕。06年春場所新小結。1メートル95、150キロ。28歳。

 ◆白露山(はくろざん=本名ボラーゾフ・バトラズ・フェーリクソビッチ)東十両6枚目、ロシア・北オセチア共和国ウラジカフカス出身、北の湖部屋。兄の幕内・露鵬(大嶽部屋)とともに02年夏場所初土俵。04年秋場所新十両。05年名古屋場所新入幕。1メートル89、138キロ。26歳。

 ▽大麻取締法 大麻の栽培をはじめ所持、輸出入、販売などのための使用が規制されている。同法の第六章罰則では大麻の無許可所持者は5年以下、輸出入者は7年以下、営利目的の栽培は10年以下の懲役に処せられる。しかし、大麻の吸引だけでは法律違反ではない。

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2008年9月3日のニュース