清宮サントリー 逆転初V!

[ 2008年2月25日 06:00 ]

<三洋電機・サントリー>後半20分 逆転トライを決めるサントリーWTB・小野沢

 清宮サントリー、日本一――。ラグビートップリーグプレーオフ・マイクロソフト杯は24日、秩父宮で行われ、2年連続の決勝に挑んだサントリーは後半20分、WTB小野沢宏時(29)の逆転トライでリーグ戦全勝の三洋電機を14―10で退け、大会初優勝を飾った。サントリーのタイトル獲得は02年度の全国社会人大会以来で、5季目を迎えたトップリーグでは初。昨年は東芝にロスタイムの逆転負け。雌伏1年、就任2年目の清宮克幸監督(40)が3度、宙に舞った。

 悪夢を思い出していたのは、1万4000人を超えた観衆だけだったと言いたげだった。6点リードのロスタイムに東芝に逆転されてから丸1年。4点リードのノーサイド寸前も「絶対大丈夫だと思っていた」と清宮監督は振り返った。同じ間違いはしない自信。リーグ戦では完敗した三洋電機に「勝つべくして勝った」と付け加えた。
 キックオフ前から、無敗の相手をのみ込んでいた。強風の中、コイントスで勝ち、選んだのは、なんと風下。「この時期は風が吹く。(トスで負けて)風下から始まる可能性があるなら、風下の練習をすればいい」。その発想が、前半は耐えるという意思統一につながっていた。優位のFW戦で重圧をかけながら“その時”を待っていた。

 7―10の後半20分だ。ラインアウトからのボールを受けたSO野村が、サインをコール。WTB小野沢が狭いスペースに走り込み、オープンに広がった防御網を切り裂いた。40メートル独走の逆転トライ。MVPに輝いた小野沢は「FWがラインアウトのあとプレッシャーを与え続けた60分があったからできた。こんなパターンのときに相手はどういう傾向があるか、みんな分かっていた」と理詰めを強調した。

 合言葉は“ファイナルラグビー”。決勝(ファイナル)で力を発揮するには、どうするか。早大時代から清宮監督とともに戦ってきたフランカー佐々木は「去年は監督の言う通りにやるだけで、パニックになることもあった。今年は全員に試合を理解させるようになったから、余裕があった」と説明した。1年前、パニックだったロスタイムの悲劇を繰り返すことはなかった。

 華麗なオープン攻撃を捨て、FWでモールをつくり、じわじわ攻めたことを「相手が弱いところだからやっただけ」と清宮監督は説明した。「自分たちのラグビーがしたいだけのチームと、うちとの差が点差になったと思う」―――。2年目で頂点に立ち「自分の仕事はできたかなと思う。ハッハッハ」と笑った40歳に、プロ監督としての凄みがにじみ出していた。

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2008年2月25日のニュース