前主将・吉田麻也が分析した日本代表の明と暗 W杯上位進出へのプラス要素と、チーム成熟度への不安
26年W杯北中米大会の開幕まできょう11日で1年となった。8大会連続8度目の出場を決めた日本代表は残された準備期間をいかに活用するべきか。3度のW杯に出場して前回22年カタール大会で主将を務め、現在米MLSでプレーするDF吉田麻也(36=ギャラクシー)が単独インタビューに応じ、自身の経験則を基にした上位進出へのポイントを語った。 (木本 新也)
22年W杯カタール大会を最後に日本代表を離れた吉田だが、今も森保ジャパンの動向は注視している。国際Aマッチ出場数は歴代3位の126。3度のW杯を経験した前主将は「チーム、選手が残り1年でやるべきことは?」との問いに、迷うことなく即答した。
「個々のレベルアップはもちろんだが、W杯の結果は大会期間中のコンディション次第なので、この1年の環境が凄く重要になる。今夏にステップアップする可能性がある堂安や板倉、所属クラブが降格する伊東、中村敬、菅原らがどんな選択をするか。高いレベルでやりたい、CLに出たい、いい待遇でやりたい、というのは選手として当然だけど、試合に出られないと厳しい。個々の決断の積み重ねがチームの浮沈を左右する」
W杯最終予選は2試合を残して危なげなく突破。6月シリーズは三笘ら所属クラブでプレー時間の多かった主力の招集を見送り休養を優先させた。吉田は「今回の活動に参加すると所属クラブで来季の合流が遅れて2、3歩後ろからスタートしないといけない。9、10、11月も代表活動があり出突っ張りになるので、ここで休めるのは大きい」と森保監督の決断を支持した。
その上で、修羅場をくぐらずにW杯切符を獲得したチームに警鐘を鳴らした。4年前の最終予選は3試合を終えて1勝2敗。後がない状況で迎えた第4戦でホームでオーストラリアとの激戦を制して息を吹き返した。敗戦や接戦から見えた課題を修正してチームの成熟度を高めただけに、現代表が逆境を経験していないことはマイナス材料だと指摘する。
「4年前はオーストラリアとの大一番で浅野が決勝点をねじ込んだ(記録はオウンゴール)。あれを乗り越えてチームも浅野もたくましくなった。浅野の本大会でのゴールにもつながったと思う。修羅場を経験した数がチームや選手の格につながるけど、今回はそれがないので課題も見えない。監督も接戦の中で戦える選手、そうでない選手を見極められる。何となく勝てている現状で、チームを成熟させるのはかなり大変だと思う」
吉田はW杯開催都市のロサンゼルスに本拠を置くギャラクシーに所属。米MLSで3季目を迎え、時差や長距離移動を伴うW杯と同様の戦いを日常で体感している。米国の地理や気候に精通し、昨年12月に日本協会の宮本会長と会談した際は日本代表のベースキャンプ地選定に関する助言を求められた。
「最終的にはドロー(抽選)次第」とした上で「セントラル(中央部)だと西にも東にも行きやすい。セントラルは暑さなど環境も過酷なので、そこから楽なところに移動して試合をするのがいいと思う。ブラジルの反省もある」と提案した。14年W杯ブラジル大会では涼しくて過ごしやすいイトゥでベースキャンプを張り、試合会場の高温多湿な環境に順応できなかった。11年前の教訓を生かさない手はない。
W杯本番で得た学びは他にもある。22年カタール大会の1次リーグ第2戦コスタリカ戦は前日練習を本番会場で実施しなかった。片道約1時間を要する移動の負担を避けてリカバリーを優先。森保監督から吉田が判断を委ねられ、一部主力から意見を吸い上げて決断した。試合当日に初めてピッチに入ると西日が気になったため、GK権田と相談してコイントス時にコートチェンジを要望。試合は0―1で敗れた。本番会場での練習を回避したことが結果を左右したとは言い切れないが、想定外の対応を迫られた事実は残る。
「その時の決断が正しいかは誰にも分からない。その中であらゆる状況を想定して事前に準備を怠らないことが大事。一つの決断が日本サッカーの未来を左右する可能性がある。それを理解する選手、スタッフがいるチームは強い。16強までは運があれば行けるが、その先は本当に地力のあるチームしか行けない感覚がある。今の日本代表には十分にチャンスがある。残り1年、ケガだけはせずにみんながいい状態でフェアな競争をしてほしい」
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