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黄金時代到来!神戸、V2呼んだ5つの「しんか」=真価・進化・心火・新加・深化とは

[ 2024年12月9日 06:00 ]

明治安田J1リーグ最終節   神戸3-0湘南 ( 2024年12月8日    ノエスタ )

<神戸・湘南>シャーレを掲げ、歓喜する武藤(左)と大迫ら神戸イレブン(撮影・中辻 颯太)
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 神戸が史上6クラブ目のリーグ2連覇で天皇杯とのシーズン2冠に輝いた。相手チームの対策を上回る強さを発揮した24年シーズンを支えたものとは?吉田孝行監督(47)の采配や戦術、チームに根付いたポリシーなど、5つの「しんか」から強さを読み解く。 (取材・構成 飯間 健)

≪真価≫後半戦半端ない大迫&武藤
 一流選手はシーズンを経るごとに、コンディションを上げていくのが定石だ。勝負どころで頼りになったのはやはり大迫と武藤のダブルエースだった。

 「Jリーグを盛り上げていく」。今季の開幕前にそう宣言していた大迫は今季11得点9アシストをマークし、そのうちリーグ後半戦だけで7得点6アシストを記録した。得点王に輝いた昨季の22得点に遠く及ばなかったとはいえ、鹿島戦(6月30日)から公式戦4戦連発でチームを勢いに乗せた。

 13得点7アシストの武藤は後半戦7得点5アシストを記録。川崎F戦(6月16日)と横浜戦(8月11日)で決勝弾、そして柏戦(11月30日)では試合終了間際の劇的同点弾でチームを救った。4月には全治2カ月の肋骨骨折を負ったが、試合出場を続け、妥協のない姿勢をチーム全員に示した。

 2人とも昨季以上の厳しいマークにさらされた。それでも完璧に止められるDFは、今季もいなかった。

≪進化≫吉田監督光った勝負師采配
 吉田監督の手腕がなければ連覇はあり得なかった。方向性や基準は就任以降変わらないが、今シーズンは選手コンバートや大胆な人心掌握術が光った。

 印象的なのが本来右サイドバック(SB)の広瀬の左FW起用だ。「意図を説明すると、すぐに整理してやってくれる」。大迫や武藤、宮代ら得点力のある選手を生かすべく、サイドの高い位置でゲームメークをさせた。かつて指揮を執ったJ2長崎では、毎熊(AZアルクマール)をFWから右SBにして日本代表選手にまで成長させたのは有名な話。既成概念にとらわれない采配で、選手個人の幅を広げさせた。

 町田戦(6月26日)では大迫をあえて先発から外した。前節G大阪戦(同22日)の得点取り消しで動揺を隠しきれていなかったエースの悔しさや怒りのエネルギーを引きずらせなかった。また、新潟戦(5月6日)では前節の名古屋戦(同3日)から先発9人変更で勝利。勝負師としての凄みを身につけた。

≪心火≫怒りを力に徹した一戦必勝
 武藤は後半55分に起死回生の同点弾を決めた柏戦(11月30日)後、厳しい口調で言った。「僕たちは仲良し集団ではない。戦えない選手は置いていく」。この“怒り”こそチームの強さの根源だ。

 クラブ史上2位タイの1試合6得点を奪った札幌戦(3月30日)では大量リードを奪っていた試合終了間際、パスが合わなかった酒井と飯野が互いの意見を激しくぶつけ合った。吉田監督就任後はチームに“一戦必勝”の心構えが定着。だからこそ、土壇場で追いつかれた東京V戦(11月10日)後、武藤は「全くうれしくない」と怒気を含ませた。結果的に大きな勝ち点1になったが、そのスタンスは変わらなかった。

 また、指揮官は夏の移籍市場で中盤の森岡の獲得にとどまった後、「編成上で足りないところは他にあると思いますけど」とフロント側をチクリと“けん制”した。ピッチ内だけでなく、クラブに関わる全ての人が高い要求を出し合って戦う集団に変貌を遂げた。

≪新加≫“第3の矢”宮代存在感11点
 今季新加入組が欠かせない戦力になった。宮代は大迫と武藤に続く“第3の矢”としてキャリアハイのリーグ11得点。井手口は夏場以降に定位置をつかみ、持ち前の運動量と球際の強さで“狩人”ぶりを発揮した。

 川崎Fから完全移籍で加入した宮代は大迫らにマークが集中する中、インサイドMFのポジションから流動的に動いて得点量産。シーズン終盤には公式戦4戦連発を記録した。「サコ(大迫)君とヨッチ(武藤)君は点を決める絶対的なものがある。あとチームにアクセントを加えられるのは何かと考えれば、それは自分だと思う」。自らを連覇のキーマンと自覚し、その通りの活躍を見せた。

 井手口は戦術に慣れていなかった開幕当初はベンチやベンチ外の日々が続いた。だが主将の山口が左足手術で長期離脱。その穴を埋めるどころか、ACLEのタイ遠征を含めた9月の連戦でフル回転。後半戦はリーグ15試合連続で先発するなど主軸に定着した。

≪深化≫相手に合わせ…増した厚み
 序盤のターニングポイントに挙げられるのが町田戦(4月13日)だ。大迫が負傷欠場し、前川は出場停止。攻守の柱を欠く中、いつものハイボールではなく、グラウンダーの速いボールでDFの背後を突く地上戦で挑み、2―1で勝利した。

 昨季は大迫が交代すると攻撃が一気に停滞した。昨季はチーム総得点60のうち大迫不在時に奪った得点はわずか3点。しかも全てリードを広げる得点だった。1トップに入ったMF佐々木は「サコ(大迫)君がいない時のバリエーションを増やさないと相手も対策しやすくなる。流動的にできた」と手応えを強調。J1初昇格ながら旋風を巻き起こした相手をきっちり退け、戦いの幅は広がった。

 夏場以降はハイプレスだけではなく、ビルドアップでの崩しにも着手した。苦手としていた5バックの相手にも今季は1敗のみ。自分たちのベースは持ちつつ、相手次第で攻略法を変えられる。昨季を超える厚みのあるチームに仕上がった。

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