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中村俊輔氏 97年世界ユースでの30メートルFK弾が「自信に」 U20W杯戦う日本代表にエール

[ 2023年5月23日 05:30 ]

中村俊輔氏
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 【月刊中村俊輔 5月号】昨季限りで現役を引退し、今季から横浜FCのコーチに就任した元日本代表MF中村俊輔氏(44)が、サッカーの魅力を語り尽くす随時掲載の企画「月刊中村俊輔」。今回のテーマは、将来を嘱望される原石たちが出場するU―20W杯。自身が初めて日の丸を背負って出場した97年マレーシア大会を振り返りつつ、アルゼンチン大会に出場中のU―20日本代表にエールを送った。 

 「世界を意識し始めた大会だったと思う」。プロ1年目の18歳で大会に臨んだ俊輔氏にとって、初めて日の丸を背負って出場した大会は、世界に挑んだサッカー人生の“原点”にもなっていたようだ。

 例えば、1次リーグ第2戦のコスタリカ戦で叩き込んだ、約30メートルのFK弾。「長距離で決めたFKは自信になった。“この距離でも決められるんだ”って」。大舞台で得た手応えが、世界屈指のキッカーへ上り詰めるための、大きな糧となったという。

 敗退が決まった準々決勝のガーナ戦では、延長に入り、相手が急にギアを上げてきたことに驚かされた。あの頃は、アフリカ人が欧州市場から注目され始めた時期。「ここから同世代の選手がどんどん伸びていくんだろうなという焦りはあった。彼らに遅れないように、Jリーグに戻ったら頑張らないといけないと思った」。大会を通じて感じたことを、その後の成長につなげたという。

 一方で、U―20W杯は「あくまでも通過点」と強調する。「U―20W杯には、既にビッグクラブでプレーしている選手は参加していない。だから、(いいプレーができたとしても)勘違いしないようにはしていた」。そして自らの経験を踏まえ「U―20、五輪代表までは、あまり世界との差は分からない。差を実感するには、やっぱり、1人で欧州とかに飛び込まないといけないと思う」と指摘した。

 今は昔と違い、A代表は海外組が大半。海外移籍も若い世代で挑戦する選手が増えた。今回アルゼンチン大会に臨んでいる選手にとっても「今の方が世界への道が開けているから、アピールの場になる」と俊輔氏。中でも注目されるのが、初戦のセネガル戦で決勝ゴールを決めた松木だ。

 昨年末に長友を含めて食事をした間柄で、俊輔氏も注目する一人。「松木君は強靱(きょうじん)なフィジカル、キック、メンタルの強さといった特長があるけど、それが同年代の選手相手にどれくらい通用するのか。例えばフィジカルは通用しなかったけど、判断、細かい技術とかが上回っていたとか、いろんな発見や気付きがあると思う」。

 そして最後に松木を含めたU―20代表へ「ユース年代とはいえ、日本の代表だから、結果を意識してやってほしい。そうすれば、次につながる課題が見つかると思う。一番大事なのは、大会をどう過ごすか。自分たちの力を100%出す準備をしてほしい。そうすれば、何ができて、何ができなかったとか、選手一人一人にとって意識改革になると思う」とエールを送った。

 ▽97年世界ユース選手権(現U―20W杯)・マレーシア大会 1次リーグ初戦でスペイン戦に1―2で敗れたが、続くコスタリカ戦に6―2で大勝し、第3戦のパラグアイ戦は3―3で引き分けグループ2位で1次リーグ突破。

 決勝トーナメント1回戦はオーストラリアに1―0で競り勝ったものの、ガーナ戦は延長戦の末に1―2で敗れてベスト8で敗退。監督は現日本代表チームダイレクターの山本昌邦氏で、背番号16をつけた俊輔氏は全5試合に出場し、1得点1アシスト。

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