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FC東京・徳元 J30周年“象徴”弾 27歳苦労人J3→J2→J1全カテゴリーで得点

[ 2023年5月13日 04:30 ]

明治安田生命J1第13節第1日   FC東京2―1川崎F ( 2023年5月12日    国立 )

<FC東京・川崎F>サポーターと勝利の喜びを分かち合う徳元(撮影・西海健太郎)
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 明治安田生命J1リーグは、93年5月15日の開幕から30年を記念するスペシャルマッチ第1弾としてFC東京―川崎F戦が東京・国立競技場で行われた。FC東京は7連敗中だったダービーマッチ“多摩川クラシコ”を2―1で制し、同カード10試合ぶりの白星。DF徳元悠平(27)がJ1初ゴールなど1得点1アシストの活躍で、クラブ史上最多の5万6705人が詰めかけたホームでの特別な“金J”を沸かせた。

 今季J1初参戦の徳元が、夢舞台でFC東京を3戦ぶり勝利へ導いた。前半12分に右クロスのこぼれ球を拾い、家長をフェイントでかわして利き足と逆の右足を一閃(いっせん)。ゴール右隅に叩き込むと、同25分には左足クロスで安部の追加点をアシストした。「クロス上げるよりも、思い切って振り抜こうと。めちゃめちゃうれしかったです」。殊勲の背番号17はJ1初ゴールを満面の笑みで振り返った。

 Jリーグ30年の成長を象徴する選手といえる。93年にオリジナル10と呼ばれる10チームでスタートし、今やJ1~J3で60チームにまで増えた。沖縄出身の徳元はJ3琉球からプロキャリアをスタートさせて、J2岡山を経てJ1まではい上がってきた苦労人。下部リーグで努力を積み重ねて高校時代から目標だった“聖地”に初めて立ち、記念のゴールまで記録。「本当に夢の舞台でしたので、最高です!」と叫んだ。

 大好きな祖父母にささげるゴールだった。「おばあちゃんやったよ!」。インタビューでも感謝を送った祖母の澄子さんは、那覇西高時代、毎朝5時起きでお弁当を作ってくれた。成長を見守ってくれた祖父の健也さんは、今年のキャンプ中に他界。この日は活躍する姿を天国に届けた。

 前日に徳元らを連れてウナギを食べに行ったというDF長友は「ウナギパワーで決めてくれた」と後輩の活躍に感激。さらに夫人で女優の平愛梨との間に第4子(四男)が誕生したことも明かした。チームは多摩川クラシコの連敗を7で止め、“新国立”では4戦全勝。負ければチーム崩壊の危険性もあった中、メモリアルゲームで首都クラブが息を吹き返した。

 ◇徳元 悠平(とくもと・しゅうへい)1995年(平7)9月12日生まれ、沖縄県糸満市出身の27歳。那覇西高から城西国際大を経て、18年にJ3琉球に加入。20~22年はJ2岡山でプレーし、今季からFC東京に移籍。J1通算8試合1得点、J2通算141試合3得点、J3通算31試合2得点。1メートル70、73キロ。利き足は左。

 ▽Jリーグ開幕戦VTR 93年5月15日、旧国立に5万9626人の観衆を集め、V川崎―横浜M戦で開幕。前半19分にV川崎がFWマイヤーの第1号ゴールで先制も、横浜Mが後半3分にMFエバートン、同14分にFWディアスのゴールで逆転、2―1で最初の白星を挙げた。

 【ダービーアラカルト】
 ☆元祖は横浜 93年からあったのは横浜M―横浜Fの「横浜ダービー」だけ。98年開幕戦では横浜Fの高卒ルーキーMF遠藤保仁がデビュー。吸収合併のため同年限りで消滅。

 ☆頂上決戦 99年第1Sは磐田、第2Sは清水が優勝し、チャンピオンシップで「静岡ダービー」が実現。1勝1敗でPK戦の末に磐田が優勝。

 ☆今季神奈川は12試合 現在はJ1~3で全60クラブに増え、クラブが複数ある都府県は11。4クラブが今季J1所属の「神奈川ダービー」は、横浜対決を含めリーグ戦だけで12試合もある。

 ☆由来さまざま 近隣クラブ以外でも存在し、鹿島―磐田などその時代の強豪同士の対戦は「ナショナルダービー」とも呼ばれる。歴史を基にした新潟―甲府の「川中島ダービー」、だじゃれによる柏―C大阪の「餅ダービー」などもある。

 ≪J史上初のドローンショー≫主催者側のFC東京は、キックオフ前に「FIREWORKS DRONE SHOW」と題した特殊効果花火とドローンを使った特別演出を実施。花火は1000発、200機飛ばしたJリーグ初のドローンショーでは「F・C・TOKYO」などの文字が夜空に浮かび上がる演出で、会場を盛り上げた。また、川崎Fもサポーターがチームカラーのペンライトとフラッグでスタンドを彩った。

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2023年5月13日のニュース