×

【槙野智章氏 観戦記】森保ジャパンと重なった岡山学芸館の後半の動き 課題はまだ足りない“ずる賢さ”

[ 2023年1月10日 04:30 ]

第101回全国高校サッカー選手権・決勝   岡山学芸館3―1東山 ( 2023年1月9日    国立競技場 )

<岡山学芸館・東山>試合を見つめる槙野智章氏(撮影・西海 健太郎)
Photo By スポニチ

 昨季限りで現役を引退した元日本代表DF槙野智章氏(35)が9日、決勝戦を視察し、観戦記を寄せた。両校への賛辞、そして未来ある高校生に厳しくも愛あるエールを送った。希代の熱血漢が指導者の道を歩む上での第一歩を踏み出した。

 岡山学芸館、おめでとうございます!前半は主導権を握られながら相手の動きを見て後半は違う動きをする。戦術も変える。明らかにサイドチェンジは増えました。監督の戦術眼を含め、チーム全体で守る、攻めるという部分で抜けていました。W杯の森保ジャパンが重なって見えました。終盤も時間を稼ぐシーンはなく最後まで攻める姿勢は見ていて気持ち良かったです。

 東山も胸を張ってほしい。戦術があり、核になる選手もいる。戦い方には次のステージも見据えた部分が見えて楽しかった。特にボランチの真田選手と松橋選手はサッカーIQが高くボールを受ける位置も絶妙。同点弾も松橋選手が下りてきて裏に配球、最後は真田選手が2列目から飛び出して決めた。プロでもなかなかない鮮やかなゴールでした。

 高校選手権の生観戦は今大会が初めて。指導者を目指す上で貴重な第一歩となりました。試合を見ながら気付いた点もメモしたので紹介します。(1)ずる賢くない(2)レフェリーへのプレッシャーがない(3)CKでGKがボールを捕る回数が多い(9回はあった)(4)ロングスローが多い(5)アタッキングサードでボールを持っていない選手のランニングが少ない。

 例えばGKが捕った後のカウンターが多いのはおかしな話で誰かが前に立って時間をつくらないと。僕らの時代よりもうまい選手は多い。でもファウルをとられても皆“いい子ちゃん”。駆け引きを含めたずる賢さが足りないんです。今大会はPKも多かった印象。日本サッカーの得点力不足という意味で課題だと思いました。

 すみません、ネガティブなことばかりで。ただ指導者の目線に立ち、あえて厳しいことを言いました。未来ある高校生にはエールを込め、僕が大事にしている語録も送ります。「頑張るときはいつも今」「チャンス行きの電車に飛び乗れ」。「24時間、サッカーと恋をしろ」。今、できていないことが多いのは伸びしろなんです。皆の成長する姿が楽しみでしょうがないです。(元日本代表DF)

続きを表示

この記事のフォト

2023年1月10日のニュース